ぶった斬れ!! 音たてて崩れん
魂の抜けたような陽線(27日)は、幽霊線で、買っただけ内部要因が重くなり再び暴落する。
「夏桑や甲斐の山々裾急に 東子房」
相場の強い場面を見て、強気するのは誰でも出来る。高いから強気する。強いから強気する。しかし、強く見せる相場、本ものか、どうかを見定める必要がある。
小豆は気分一杯戻した。精一杯である。誰もが強気になった。
だまされているのである。
この小豆相場は惨落するはずだ。
なぜ?。
海員組合のストを買った相場である。ストが解決すれば当然安い。筆者の知る限り、中小企業のストライキならば会社潰れて工場が廃墟になるまで続けることもあろうが、産業界や社会生活に重大な影響をおよぼすストライキに、未だ解決せずに終わったというストライキを知らない。
船員中央労働委員会も職権あっせんに乗り出した。解決は時間の問題だ。
神戸港に行って沖を眺めれば、そこに小豆が来ている。一時的在庫減を買うとは、まさしくナンセンス。スーパーにでも行って蓮根の大盛りでも買ってくることだ。
人気面が硬化したことにより再び高値買い付きの取り組みとなった。
先月の末の相場と同じことをしている。先月末は25日を安値として31日まで急騰、新ポ新穀の生まれでワッときて思いきり買った値が大阪一万二千二百十円。来月は12月限生まれだからあのような劇的な動きにはならず、残念でした27・28日の戻り頭が、一杯の値となろう。
産地は日照不足気味だが気温は高い。これで土用にガンと照りつければ一度で豊作人気となろう。
ここ両日中に先限の一万二百円。飛んであけた窓を埋めきって、なお安い場面ありと見るのだ。
筆者の線型では28日、29日と暴落線、とくに節(ふし)足は、上げただけ下げると言っている。
早ければ30日、遅くとも新ポから来週にかけての千円下げ。見えているような気がする。
人々は、このはな、先限の一万一千二百円あたりはあるだろうと見ていた。そして、そうなると相場が変わって、押し目をいれても大出直り型につながる―という希望的予想図を想定しただろう。無残なり。相場環境は、とてもそのように甘いものではないのである。27日の日足線(長陽線)は、幽霊線と化している。強気するなにものもない相場であった。
●編集部注
この年の六月は何かと節目の時期であった。
ポンドショックやウォ ーターゲート事件。佐藤政権もこの月に倒れた。
【昭和四七年六月二九日小豆十一月限大阪一万〇六九〇円・一一〇円安/東京一万〇六六〇円・一四〇円安】