昭和の風林史(昭和四七年七月五日掲載分)

再び買い方針 千丁高がある!!

売っても売っても下がらなくなると大底。先二本は買いで勝負。積極的な強気でもよろしい。

「地にちかく青ほゝづきのふくろかな 恒郎」

海員組合のストが解除になれば、この相場、それを材料に売られるところがあるかもしれない。

しかしその下げは、一時的なものになるそうに思う。

下げても瞬間的である。

北海道のお天気が、ここのところ、もうひとつ感心しない。作柄も〝やや不良〟ということで、気になる。五月中が、よすぎてその〝貯金〟を食い潰している格好だ。この先、低温や雨が続くと、敏感に相場が反応を示すように思う。

だいたい、下値にとどいた相場である。

悪材料の殆どを織り込んだ。たとえて言えば、和食、洋食、中華の料理をタラ腹たべたあと、さあ飲め、それ飲めとビールの栓を抜かれても、のどを通らない。ビールを飲むなら料理をたべる前か、たべている時に出してくれなければ幾ら好きでも飲めませんよ。

それと同じで、悪材料という悪材料は、すべて出尽くし、先に行っての遠いむこうの売り材料まで相場は織り込んだ。

従って、いま、どのような売り材料が出ても相場は受け付けない。

怖いのは、その逆の現象である。

作にキズがつくとか、気温がちっとものぼらないとか。この場合は敏感であると思う。

聞けば阿波座筋は安値を叩いた。バッチリと、ドつぼにはまった。お手々がよろしくない近ごろの巧者筋である。

叩かれて、また叩かれての買い方は、打たれてばかりの半生であった。天がこれに味方すれば、いままでのウップンもあり、韋駄天走りである。韋駄天は買い方守護の神。

ひとつこれから小豆を買って苦労してみるか。そういう考えで強気をすると、案外スイスイといくもので、買い玉、期待に反して利が乗ったりするものだ。

ともかく逆ザヤ傾向になったことが気になるのと、弱気がまったくふえたものである。こうも弱気が多くては、下げるべき相場も下がらない。

安値を売った売り玉は、どうすればよいか。両建てにして、高値で買いを利食い、ナンピンかけて、次の下げで逃げる。やって出来ない事はない。

相場は、目先軟弱でも、必ず反騰して高くなるだろう。そして高いあとはまた下げる。だがその下げは押し目であるから浅いのである。相場は買いだ。

●編集部注
やって出来ない事はないが、やらないに越した事はない。でも、ついやってしまうのが相場だ。

【昭和四七年七月四日小豆十二月限大阪一万〇四九〇円・二〇円安/東京一万〇四五〇円・四〇円安】