昭和の風林史(昭和四七年七月八日掲載分)

目下大底圏内 信念で強気せよ

相場は大底圏内であることが判然としている。自信と信念で強気するものが常に勝者なり。

「夕焼けて何もあはれや船料理 汀女」

阿波座連合は、一気に売り崩そうと北海道市場にまで手をのばし、中井、松亀の両店で叩いていた。
しかし、相場そのものは明らかに下値にとどいている感じである。

作付け七万ヘクタールという、とんでもない数字を流しても、相場は受け付けない。そんなはずがないからである。

また、ここ数日来の好天にもかかわらず、作の遅れがどこまで取り戻せるか甚だ疑問で、天候がよすぎることも心配の種になる。

筆者は強気せんがための強気ではない。

すでに相場が底値圏内にあって、叩いても叩いてもこの水準から以下は、叩き崩せないことが判然としているから、絶対的な信念持って強気に転換したのである。

確かに見渡しても強気する材料はない。

だから弱気する―という時代は終わっているのだ。

思えば42年の相場がそうだった。当時、豊作で総悲観、総売り気分であったが、七千円が、まったく堅く、売っても売っても下げきれず、一代足は大きなUの字型で大底を構成した。

今の相場にしても九千五百円から一万円どころ、一代棒は大きくUの字型の大底を形成している。これを叩いて、目先の二、三百円は取れるかもしれないがキッカケひとつで棒に立つ可能性は多分にあるのだ。

むしろここは人気に逆行して買い下がりの態勢こそ相場道君子の道であろう。すなわち和して同せずである。

早くも脇田米穀阿竹氏と山大商事の関口氏は産地視察に飛んだ。例年同じ時期に同じ場所を視察する予定で、くまなく調査の足をのばすことであろう。

一方、手口を見ていると山梨系の表面売りがひときわ目立つ。東京市場での噂によれば、山梨は自店で売ると見せて、他店で、かなり買い玉を仕込んでいるようで、どこかで自店の売り建て玉をドテンひっくり返してくるだろうと見ていた。

売って、下に幾らあるか。そしてその下値で売り玉が手仕舞いできるか。

その事を思えば、大量買い玉を仕込んで天候の変化を待つのが王者の道であり大きな勝負といえよう。

相場は明らかに大底圏内である。自信と信念で強気するところである。

●編集部注
 銘柄は変われど、相場の動きは変わらない。

 100円超え直前のドル/円相場でも、こんな感じの動きがあった。

【昭和四七年七月七日小豆十二月限大阪一万〇一一〇円・二〇円安/東京一万〇一四〇円六〇円安】