昭和の風林史(昭和四七年八月二十一日掲載分)

週明け沸騰高 手亡に人気集中

手亡の作付けは意外に少なかった。手亡相場が人気化しよう。小豆も言われたほど多くなかった。

「無花果のみだりに多くして卑し 羽公」

月曜の相場が、どのような寄り方をするか。17日の安値(寄り付き)大阪先限八千五百五十円=を割らずに今作っている〝ダンゴ〟の圏内で、小高下するようならこの小豆相場、明らかに底練りとなる。

もし、新穀三本が17日の寄り値を切ってしまうと、ここで固めようとした、せっかくの足場が崩壊してもう一段安の八千三百円相場が、ないとは言えない。

筆者は、底を打った相場が底練をしながら値固めの動き―と判断しているのである。

たとえそれがズリ込んでも商いの具合などから見て、底抜けなどと悲観するつもりはない。

内部要因も随分好転している。店内での懐は、買い玉の整理が進んだ。
底打ちの条件としては、ほとんどが揃っているのであるが、いかにせん産地の天候が、あまりにも好調で作柄に不安のないところが強気する側にとっての泣きどころである。

しかし、まだこれから先は長い。どのように天候が崩れるか判らない。台風、落葉病、早霜―等々。そして秋風とともに需要最盛期にはいる。

人々は、ともすれば悲観をするが、絶望しつくした後には悲観は消えて希望が生まれる。

一方、手亡の相場は週末の引け味が、なんともよろしかった。

陽線を立てて、上から短く利食い線が食い込んで、それをまた下から切り返すという攻防であるが、押したり突いたりしながら取り組みが太り、結局六千八百円が頑丈な抵抗底となって新しいキッカケ材料の出現を待つ。

そしてすでに手亡の節(ふし)足線は買いに転換している。

農林省の作付け予想は予想よりはるかに少ない一万六千八百ヘクタールと発表された。前年比75%である。

作況は良。

これで手亡相場がいよいよ本年後半の花形相場に祭りあげられる事だろう。

小豆の六万六千四百ヘクタールも一部早耳筋の予想六万八千ヘクタールに比較したらかなり少ないので、七万ヘクタールだとか、ついには八万ヘクタール説まで飛び出した小豆の大幅増反論議一応これで終止符が打たれよう。

作況は、やや良から良になったというものの、勝敗は最後の五分に決するといわれる。

●編集部注
 百人の相場師のうち、九九人が売りと見た相場で買うのが一番儲かる。

 頭では理解できる。しかし実際にやるとなると相当に難しい。なによりも心の強さが求められる。

【昭和四七年八月十九日小豆一月限大阪八六五〇円・一一〇円安/東京八七九〇円・四〇円安】