昭和の風林史(昭和四七年八月三十一日掲載分)

陰惨なる相場 ジリ安改まらず

底値八千五百円説もあやしくなってきた。軟派は追撃売りのチャンスを狙っている。

無気力という言葉がそのままあてはまる相場つきである。

ただなんとなく値がついて、それもジリジリと下げている。こうなると先限八千五百円が底値だとは、かならずしもいえない環境である。

産地の天候は依然好調。それを裏書きするように、一昨日発表された八月十五日現在の全国水稲作況指数でも北海道は一一二と全国で一番良い。

去年の数字が五八であったのを考えると、今年の北海道の気候が農作物にどんなに良いか一目瞭然である。

このあと、もちろん、早霜、台風等の懸念はあるが、九分通りまで豊作確定と考えてよいようだ。

来月早々に各支庁から発表される作況は一段と良くなっていると思われるので戻り売り人気が更に追撃売り人気にまで進みそうだ。

すでに市場玄人筋ではヒネ限月の六千五百円、期先で七千五百円は充分あるとみて売り叩きのチャンスを窺っている。

六千五百円というと東北産で格差二千五百円を引いて一俵四千円である。これがヒネとなると格差三千五百円引いてただの三千円となる計算。

それにクレームでもつければ応分の値下がりもある。スーパーのバーゲンセールなみの安い値段の小豆だ。

さて昔から米一升、小豆一升といわれて、米と小豆の値段はほぼ対等が普通だ。

現在米の配給価格は一㌔百二十五円、六十㌔換算で七千五百円。

しかし生産者米価は今年は百五〇㌔あたり約二万二千五百円。六十㌔換算九千円である。

米が高いか、小豆が安すぎるのか。

米が下がらないとすればいずれ小豆が米にサヤよせすることになりそうだが、今は何をいってもだめだ。

小豆にツレ安して手亡も水準を下げている。小豆も豊作なら手亡も減反とはいえ豊作に違いないという人気だ。

しかし手亡の場合、小豆よりは国際的な視野で相場を考える必要がある。

旱魃から大凶作と伝えられるソ連の出方次第で白系雑豆の暴騰もありうる。すでにシカゴ市場で小麦が急騰、海上運賃も上昇し、船株が一斉高だ。いつでも輸入できるとタカをくくっておれぬ場合もありうる。

●編集部注
 〝米と小豆の値段はほぼ対等が普通〟なのかどうか、良く判らなかったのでネットで調べてみた。

 滋賀の農家直営オンラインショップでは両方販売中。ここでは現在、コシヒカリが2㌔で100 0円、大納言が1・5㌔で1800円する。

小豆が高いのか、米が安いのか、よく判らない。

【昭和四七年八月三十日小豆一月限大阪八五二〇円・九〇円安/東京八五七〇円・八〇円安】