昭和の風林史(昭和四七年十月一日掲載分)

大豊作の秋! 閑散がつづこう

月がかわってもすぐにどうこういうこともない。閑散場面が続くだろう。期待は中国大豆だが。

いよいよきょうから十月入り。秋の気配も一段と濃くなってきた。
九月はオリンピックや、田中首相の訪中など何かとザワついた月であったが、十月はどうだろうか。

二月新ポだけに相場の方は株式も商品も大荒れになるかもしれない。

また、訪中の成果を冷えないうちに解散、総選挙となる可能性も強いので街は選挙の事前運動的なポスターが氾濫し売名の催しも横行することだろう。どちらにしても今月も相変わらず静かな月ではなさそうだ。

穀取業界でのさしあたっての関心事は新しく上場される中国大豆にどのくらいの商いができるかということだ。アメリカ大豆の時と違って前人気も比較的高いようである。小豆不振をカバーできるぐらいであってほしいものだ。

さて、小豆、手亡とも三月限が生まれるが、小豆は格差の変更がないので、同ザヤ程度の発会となろう。

手亡は三月限からピービーンズがこれまでの格差二千五百円が三千円となるため当然二月限より上ザヤで生まれるはずである。このサヤの幅によって手亡への人気の集まり方が判断できる。

先般の豪雨の被害については、たいしたことはなかったとも、予想以上に大きかったとも伝えられているが、前週の動きから見ると九月一日現在の収穫予想を下回っていると見てよいようだ。

発表された収穫予想量は五十三万俵であったから、もし一割減収となると四十七万俵強となる。去年の実収高五十万六千俵を下回る。それに輸入物の格差が大きくなるのだから、どう考えても六千五百円以下の値はありえない。

その輸入ものであるが、円の切り上げでもあるとそれだけ安く入るということを考慮に入れても今年の豆類は世界的に見ると豊作だったとはいえないようだ。

豆類の中で一番数量の多い大豆でも今来年度の世界的な年間需給は窮屈である。アメリカ産白系雑豆もこのところジリ高を辿っていると伝えられる。

小豆と違って振幅が乏しいので、どうも手がつけにくい手亡であるが、小豆は底入れ感が台頭しても戻りの頭は当分押さえられるとすれば手亡の人気についてゆくほかはなかろう。

●編集部注
 すっかり忘れていた。この当時と今とでは、円の価値が違いすぎるのだ。
 まだこの時期、日本は変動相場制ではない。ニクソンショック前が1㌦=360円。ショック後が308円。この年の年末が約301円である。

【昭和四七年九月三十日小豆二月限大阪七九二〇円・三〇円安/東京七九一〇円・二〇円安】