昭和の風林史(昭和四七年十月二十三日掲載分)

押し目買いで 小豆は戻り売り

小豆の強張ったところは売り方針。手亡は安いところを買い下がれば面白い。まだ当分閑だろうが。

「鹿起きて腹につきたる紅葉かな 惜字塔」

模様眺めの見送り商状。いまひとつ小豆も手亡も相場に艶(つや)がない。

聞いてみると、手亡はベタ売り、逆に小豆はよく買ってくるそうだ。

お客さんが売ってくる手亡は高く、盛んに買ってくる小豆は頭重い。

それで相場だが、まず小豆のほうは、先に行って(年末ごろから春先にかけて)高いだろうが、今はなんといっても大豊作の出回り最盛期を迎える。しかも交易会の最中では、高ければ契約を刺激するだろう。

しかも取り組みが買われていては、仮りに高くても九千円までのものである。八千五百円以下には抵抗があるとしても、今週あたり八千二、三百円(先限)の窓を埋める相場のように思える。

もとより八千円割れは大底圏で、七千八百円という値段は、あり得ないだろう。となると、ここを売って二、三百円。売り妙味もないわけだ。自然、八千七、八百円から九百円あたりへ戻すようなら、それを狙ってみようという事になる。

手亡はどうか。手亡の七千円どころは買いであることが、はっきりした相場である。

しかし七千五百円を、いま八千円目標に強気出来るかというと、いまひとつ、しんどい話だ。

将来は、八千円が八千五百円でも九千円でも付けて付けられない相場ではないが、まだ少し早すぎる。

だからといって、これをさらに売り込めば、その時は、ひねられよう。

まあ、手亡は、小甘いところ、売られた場面、安いところを買えばよい。

なおピービーンズの問題であるが、格差が三千円も開いては、渡しようがない。相場操作のためなら、大量に売っておいて『輸入するぞ』―と宣伝し、定期の人気を冷やして、崩れたところで逃げればよいし、仮りに実際輸入しておいてこれを再び輸出する方法だってある。

輸出入の差損金など、定期の相場で十分カバー出来るわけだ。

山梨が相場を盛んに売っていても、それは強気せんがために売る事もあるし、弱気せんがために目立って派手な買いの手をふる事もあり得る。これからの大手亡豆相場は化けものである。

●編集部注
当時の世相を振り返ると、十月二二日に柳家金語楼が亡くなっている。

喜劇人として一時代を築いた人物だが、発明家でもあったという。爪楊枝の切り込みや赤白帽は彼の発明なんだとか。

【昭和四七年十月二一日小豆三月限大阪八六一〇円・二〇円安/東京八六五〇円・四〇円安】