昭和の風林史(昭和四七年十月三十日掲載分)

棒下げは必至 全限八千円割れ

小豆相場の崩れが目に見えている。早ければ今週である。五、七百丁の棒下げは必至。

「柿ぬしや梢はちかきあらし山 去来」

手亡が納会事情を嫌気して安い。小豆は交易会の大量成約にもかかわらず値を維持している。

安い手亡は、買い下がり方針。値段が堅い小豆は、今週あたり下放れしそうである。六千㌧ないし七千㌧という大量の小豆が契約されて、八千円台の小豆がいつまでも続くことはない。

手亡の七千五百円どころ。現段階、すなわち今の時点では、上値の限界を示した。しかし六千八百円以下の値段は、先に行って〝仕事〟をしようとする筋にとっては、買い玉をはめ込むところである。

つながれたピービーンズの重味などといっても、ピービーンズは定期で受けて輸出に回せば損はない。

六千七百円→五百円という手亡の相場が、もしあれば、必ず集中的な思惑の対象となるだろう。

大豊作の北海道小豆と秋の交易会で契約された中国小豆が、消費地にウズを巻くことであろう。

もとより小豆相場は全限八千円割れで動きがつかない閑散低迷場面を考えておかなければならない。

その時、やはり大手亡豆相場が投機の対象になるだろう。

手亡は一貫した強気方針を続けたい。

問題は、小豆がなぜ交易会の成約にもかかわらず、あるいは新穀の出回り期にもかかわらず、値段を維持しているか?だ。

いや、これは。早ければ今夕、下放れするだろう。九千円に突っかけた、不必要な高値取り組み。しかも、いつかは埋めにいかなければならなかった上の窓を、あっさりと埋めて、役を済ませている。

考えて、先行き小豆相場が高くなるという現象は、まったく見当たらない。

ただ、今の水準では売りにくいという気持ちは充分にある。

売りにくいから大衆は買う。買うから値を維持しているに違いない。

だが、産地から陸続と出荷されようし、12月、1月積みで中国小豆が大量在庫の上にのしかかってくれば、おのずから値段はミシミシ音をたてて崩れだすのだ。

小豆の五、七百円崩しは見えている。こんなに判りやすい相場もあるまい。今から充分に取れるのだ。

●編集部注
読売巨人軍にV9時代というものがあった。

上記の文章が読者の下に届いた日より少し前、阪急ブレーブスに勝ってV8を達成していた。

同日、中国からパンダのランランとカンカンが日本にやってきている。

【昭和四七年十月二八日小豆三月限大阪八五七〇円・九〇円安/東京八五八〇円・三〇円安】