昭和の風林史(昭和四七年十二月二十一日掲載分)

次は自由化だ 余り物叩き売れ

日数をかけて八千円どころ(先限)まで下げていく小豆相場だと思う。歳末投げ売り相場だ。

「わが友の酔える恵みも慈善鍋 秋桜子」

雑豆の自由化という追撃がかかりそうだ。来月、十品目の自由化が実施される機運で、その第一に小豆があげられている(19日毎日新聞)。小豆が自由化になれば外貨のワクなど問題にしなくてもよいわけで、輸入して儲かるとなれば、どんどん入ってくる。

北海道は百九十二万俵の大豊作。秋の交易会で一万㌧の成約。これが一、二月の不需要期に入荷する。しかも小豆が自由化されれば九千円でも高すぎる時がこよう。

ここまでくれば、あとは楽な下り坂。相場は需給にまさる材料なし。

高値の買いつき。買い方仕手の因果玉。大衆のムード買い。これらが日柄の警戒に伴って悪さを表面に出してくるから、あわてる事はない。

減反だ、天候相場だ―と騒ぐのは、まだ先も先で節分が過ぎ、雛の節句も終わり、春の彼岸も終わって、その時分からの事。今から減反や、天候相場を囃したところで、目の前に俵の山を見ていては、誰も聞く耳もたない。

となれば八千五百円ヤリの相場が八千円割れという、前の安値を取りに行く場面も考えられる。

売り方一応利食いはしたが、戻りを売り直そうと待機している。

中井幸太郎氏も言うように、売れる時期に売っておかなければ、年越して、そのとがめが出るだろう。当限納会が終わって大納会までもう七日の立ち会い。年内あと一段安して、明けて大発会からまた売り直され、それはまるで去年の暮れから今年の一月上旬のような明けても暮れても安い安いの相場になりそうだ。

目先的には押したり突いたりであろう。

しかし大勢的には売り一貫である。戻りは絶好の売り場になろう。

主力買い方は大勢に逆らって抵抗をするであろうが、抵抗すればするほど相場が悪くなる。無駄な抵抗はやめよ―と機動隊のマイクでやっているあれである。

手亡も相場つきは重くなっている。

九千円目標が今では七千円目標(先限)になっている。

あんな相場に未練はないが、なぜが涙が流れてならぬというところだ。時よ時節は変わろとままよ―か。

●編集部注
 目下、売り方絶好調。逆に、買い方は絶不調。

 罫線的には、その前段階で空いたマドの存在が売り方には心強い。

 このマドを意識して、本文を読むと面白い。

【昭和四七年十二月二十日小豆五月限大阪九五二〇円・三四〇円高/東京九五一〇円・三一〇円高】