昭和の風林史(昭和四八年一月二十三日掲載分)

郡集買い濤濤 火勢盛んなり!!

売り方は完敗である。時勢には勝てない。相場は大きなゆさぶりの地点。突っ込みは買わなければ。

「佗助のひとつの花の日数かな 青邨」

週末S高で引けた余勢で月曜日は放れた。

線型は一万二千円の大関門を抜いたことからこの〔千百円押し〕の倍返し一万三千円。踏みが出て行き過ぎて一万三千五百円。そのあたりに千円棒でも節(ふし)がある。

従って目先は急落という格好で押し目が入れば絶好の買い場になって一万三千五百円を付けよう。

もちろん現物はウズ高く消費地に積まれているが、それ以上に市場が大きくなっているのだから、大勢には逆らえない。

買い主力が今のパターンを続ける限り、買えば儲かる―という安心感が市場を支配している。そういう目先巧者の買い玉と追証に攻められた売り方の踏みで天井知らずという恐ろしい相場が展開している。

一方安い手亡は、あくまでも安い。高いものはあくまでも高く、安いものはどこまでも安い。手亡の高値は大衆筋が思い切って買った。その玉が大きなシコリになっている。需給面も余り物に値なしという情勢で、小豆とは相場の性格を異にしている。従って、手亡の戻りはドカスカ売ったらよいのだという人気。

その点、小豆は品物が豊富に違いないが、その豊富な品物以上に投機資金が介在しているから力の関係が全く狂ってしまった。

大豊作であるから市場が〝あぶない〟という非難は出ない。土俵そのものが大きくなっていて、そこでダイナミックで、しかも豪快な勝負が展開されていては観衆は増大する一方だ。

東京市場で注目されていた目立つ売り店も、時に利あらず、相場は相場に聞け―とばかり、さっぱりと踏んでしまった。

火の勢いでも炎が燃えさかっている時に少々の水をかけたところで、逆に火の勢いを強くする。相場も同じで、勢いが最高潮の時期が過ぎなければ逆らうほど相手に力を貸す結果になる。

思うのは誰も同じ。この相場、どこかで天井しよう。崩れだしてから売り攻勢かけても充分間に合う。

今はまだ、尨大な大衆買い方の百億円にも達しようかといわれるそのゆとりある資金。そして値を出しきっていない相場そのもの。

道中には、まだまだ起伏があろう。時にS安もあるだろうが、安いところは、やはり買い場と見なければならない。

ここは大きなゆさぶりのあるところか。

●編集部注
 行間から読める。中段の保合いではなく、ウェッジの線形を想定している。

【昭和四八年一月二二日小豆六月限大阪一万一八二〇円・一八〇円安/東京一万一六八〇円・三二〇円安】