2015.01.28

1月26日付 メリマンコラム  《回顧と展望》  その3

ただ、今は最近の通貨戦争の話に戻りたい。1週間前の1月14日、スイスフラン/ドルは2010年9月以来の最安値水準にあった(1スイスフラン=0.9777㌦)。その翌日、スイス国立銀行(SNB)はユーロ通貨とのペッグ制の廃止という驚くべき決定を下す。それから20分も経たない内に相場は1.2282まで急騰(スイスフラン高/ドル安)、2011年9月以来の最高値水準に到達した。それはSNBがユーロと “あくまで一時的な手段”としてペッグ制をとると発表した時につけていた価格水準であった。私は主要な通貨の価値がこれほど大きく、しかも素早く変化したのを見た記憶は未だかつて無い。通貨にとって3%という価格の動きは1カ月をもってしても大きい。20分の内に25%というのは超現実的だ。
SNBの決定の裏には、欧州中央銀行(ECB)が初の量的緩和策(QE)に踏み切るという経緯があった。そんな訳で今度はヨーロッパが日本に加わり、経済的奇蹟へと導く米国製の筋書きに追随しようとしている。あるいは、そう望んでいる。1月22日に水星が逆行に転じた翌日に発表がなされた時、ユーロ通貨は急落し、23日にはユーロ/ドル相場は1ユーロ=1.1100㌦と対米ドルで2003年9月以来の最安値水準を試した。だがたった8カ月前には1.4000㌦を試していたのだ。当然ながら、米ドル(指数)は95.48ポイントと急騰し、世界の基軸通貨グループに対して最高値レベルに到達した。それは…2003年以来のことだった。
ECB、日銀、そしてFRBの全てがインフレ率の増加を望んでいる。彼らが懸念するに、今日の経済状況はデフレに偏っている。最近、一連の中央銀行は彼らが望んだものを手に入れつつある。期待通りになってきた。今日の彼らはインフレを望み、それを手に入れそうだ。しかしながら、土星が今や誇張と増大(すなわち “インフレーション”)のサイン、射手座における3年間の旅を開始している。だから彼らは自分達が考えていた以上のものを受け取る事になるかもしれない。