昭和の風林史(昭和四八年三月八日掲載分)

天候にも懸念が 手亡も上値指向

小豆相場も手亡相場も第二期の上昇波動に移る段階である。押し目買い方針を続けるしかない。

「里の子の肌まだ白しももの花 千代女」

この10日に発表される北海道の三カ月予報が、かなり相場に影響をあたえるわけで予測されるところ三カ月予報は、楽観出来ないものが出そうだ。

日本気象協会北海道支部技術部長の柏原辰吉氏は『今年の北海道の夏の天候は低温の出やすい年回りに入っている。高緯度冷下の一般的傾向が北海道の夏の天候に確実に反映しはじめている。

インドの寒波、ニューギニアの霜害は決して対岸の火事ではない』―。

気象庁の予報官・朝倉正理学博士も『世界の気象が大きな曲がり角にあり異常気象は今後大いに警戒しなければならない。ソ連やカナダは昨年と同じような冷害に今年もやられる可能性があるし、日本の夏も不順であろう』―。

三月10日発表の三カ月予報では、このような状況から、おそらく冷夏を警告するものとなろうが、小豆手亡にあたえる刺激は、ことのほかきついように思う。

すでに市場では夏の天候異変を思惑した長期方針の買い物が下値に随分潜行している。

一方、取引所当局は先行き天災期における相場波乱を予測し、証拠金等を引き上げ、建て玉も制限、過激な投機を極力排除すべく対策が講じられている。

非常に目立った大手買い方の玉減らしも主務省→取引所の方針に協力するもので、市場では好感を持って受け取られた。

しかし、春の需要期、そして天候相場控え。また、他商品市場からの投機資金の流入などを考えれば、この小豆相場は、やはり押し目買いの基調は不変といえよう。

また、手亡相場にしても世界的な豆類不足という現象から、下げ余地はなく、人気が手亡に集中すれば一万円大台乗せから一万一千円は難なく実現するであろう。

ともかく、小豆の一万八千円が巧者筋によって言われる昨今である。

生糸、毛糸等は、すでに市場の機能が止まっている。残された穀物市場は天候相場、天災期を前にして第一段階の〔仕手相場の色彩を持ったインフレ換物相場〕を終わり、第二期の〔需要期→天災期という実勢面〕からの上昇期に向かうのである。

●編集部注
これも一種の官製相場の開始場面といえる。
その一方で、巧者筋の掲げた目標値一万八千円の相場も後に出現する。
ここから年末まで、上下に六千円以上動く大きな波が出現していく。

【昭和四八年三月七日小豆八月限一万四六九〇円・変わらず/東京一万四六〇〇円・五〇円安】