昭和の風林史(昭和四八年三月二十日掲載分)

厳然強気方針 全値戻しを予想

下げても下値は、あそこまでだ―という目途がついたから強気がしやくすくなった。強気方針。

「春分や走り咲きなる寺桜 天守」

小豆相場は押し目買い方針でよい―という事になりそうだ。崩れた相場、それが止まる。この〝崩れ味〟〝止まり味〟尋常ではない。
ダラダラしたところがない。切れ味がよいというかシャープな感じである。

緊急ワク一万㌧分三百二十万㌦は、北京商談三~四千㌧、台湾小豆三千㌧。去年の秋の交易会の千㌧分で、ほぼ使い果たした格好。

来年十五日からの春の交易会用には千㌧分しか残らない勘定である。

小豆の一万㌧といえば十六万俵。取引所の売買単位に直せば四千枚である。

品物が豊富で、その上に輸入の分も上乗せしてそれで相場が一万四千円という現象。

われわれは、そこのところを考えなければならない。

すなわち今年の夏の天候を買っているのだ。

もとよりインフレ現象もこの値段構成の中に高いウェイトを占めている。

今年の小豆の作柄が、豊作か平年作か凶作か、そのような事は誰にも判らない。

判らないから思惑が生じ投機要素が発生する。

もろもろのデータでは、冷夏型という。これは可能性の問題である。

投機は可能性の高いほうに賭けられるものである。

こんどの下げで、やられたという人も多い。ならば次の騰げを思惑して取り戻せばよい。そうは簡単にいかないよ―と言うなかれ。

一万四千円が、もう千円安くなってもよいという準備をしておいて七、八月限の集中投機。先限は大台三ツを変えた下げだった。大阪で〔二千四百五十円〕幅である。一枚で九万八千円替え。

なお下値を残すかどうかは判らないが、天災期入りして、不順だ、遅霜だ、低温だ―となれば人気が人気を集めて〔二千四百五十円〕下げの倍返し、すなわち〔四千九百円高〕は一万八千七百五十円地点。
強弱とは、こういうふうに垂れるものである。付くか付かぬかは、そんな事は誰にも判らない。付けば風林当てよった―となる。

取りあえず四千五百円→八百円の穴埋めを誰もが予想している。七限の三千八百円→四千三百円。しかしそんな小さな相場ではない―と筆者は思う。

●編集部註
 そんな小さな相場ではない―。まさしく読み通りであった。ただ方向が違っていただけの話だ。

【昭和四八年三月十九日小豆八月限大阪一万四四四〇円・三三〇円高/東京一万四三三〇円・一五〇円高】