昭和の風林史(昭和四八年四月二日掲載分)

逆襲はS高で 春爛漫の買い場

さあ第四ラウンドである。方針は買い一貫。値段はとどいた。強烈な斬り返しがあろう。

「煮わらびの淡煮の青を小鉢盛 柳芽」

三月31日小豆相場は連続八本目の陰線を記入した。

陽線を一本も含まないこの陰線、陰線の叩き込みは市場人気を完全に弱くした。

きょう新ポ。注目の九月限が、どの程度サヤを買って生まれるか。それが目先の相場動向の指標となる。既に規制は強化され、波乱相場に万全の対策が講じられている。

太陽黒点活動の研究家、東京丸金商事の松本氏は『今年→来年の太陽黒点の活動は最も衰退期にはいる。今年は六月遅霜の被害が出るでしょう。春野菜が暴騰する年は、たいがい小豆の収穫は悪い。私は小豆の作付け五万五千ヘクタール、反収一俵という見方をしている。これは過去のデータや年回りや黒点活動などから予測されるものです。結局小豆相場は二万円でしょう。当限丸代金という規制が出るまでは燃える。ちょっと見たところ中だるみのようだが、大相場の様相は強くなるばかりだ』。

売り方は三千円下げで元気を盛り返した。この下げを崩しきりにするために〝ぶっ叩け〟と半ば感情的にもなる。思えば腹だたしい騰げ相場だったかもしれぬ。

しかし、相場に私情は禁物である。相場に値ごろはない。弱気は、ここが急所とばかり〝ぶっ叩く〟だろうが、叩いても下げない相場になれば、瞬時にして千五百円幅は反騰する。

今の相場が仮に千円戻したとする。恐らくその時点での人気は様変わりしていよう。
引っ込んでいた買いの手がワッと出てくる。

月末、週末の地合いは止まったと判断させるに充分であった。

前日(30日)の陰線の中に短い陰線をはらんで、値段はとどいたという格好。

四、五月の需要期。安ければ需要がつく。中国は今のところ、ひどい干ばつのようだ。春の交易会は輸入ワクの関係もあって量的には期待出来ない。作付け動向は、十勝地方で一割五分の減反が予想されている。豊富な在庫を気にする人もいるけれど、今年は在庫が多いほど相場の妙味は大きくなる。遅霜でやられ、冷夏で凶作となれば、取引所相場は二万一千円で止められようが現物は三万円にもなり得る。最後は現物投機の勝負になる。

●編集部注
今から百四十年前、英国に一人の学者がいた。

太陽黒点の増減に周期性があり、これと農作物の生育状況と価格、ひいては景気循環に関連性があるという説を唱えた。

これが太陽黒点説。景気循環論のはしりである。

【昭和四八年三月三一日小豆八月限大阪一万三五〇〇円・九〇円高/東京一万三五一〇円・一二〇円高】