昭和の風林史(昭和四八年五月一日掲載分)

メーデー万歳 進軍の旗を振れ

いざや立て―とメーデーの旗はひるがえる。小豆も手亡も、われらは強気するという場面。

「苗売のえらびし苗もともに買ふ 黄枝」

北海道十勝地方陸別町ではビートの春耕が例年より十日ほど早く始まったと伝える。

しかし四月25日、北見地方と帯広の一部に時ならぬ雪が舞い、これを伝えて消費地相場は緊張した。ほかならず今年の天候の不順を知らしめる兆候と言える。

昭和16年帯広地方は五月25日、十七センチの雪が積もった。昭和32年五月4日、札幌では最低気温が氷点下二・二度まで下がった。北海道の五月は梅も桜も一度に花をつける。桜の開花は平均して函館五月4日、札幌5日、旭川9日、帯広8日、網走12日、根室26日となっている。開花から満開までがほぼ五日ほどという。

札幌で満開が遅かったのが大正四年と六年、八年の五月18日。早かったのは三十四年、四十七年の四月29日となっている。

桜の開花が農作物の吉凶の目安になりそうだ。

さて、29、30日の連休が明けても木、土、日と飛び休に続く連休。まったくこの一週間は相場のリズムが調子に乗らない。

しかしこの間、相場は力をためて五月中旬、下旬へと一段高の準備段階となろう。

小豆先限の三千円相場。異常気象と投機人気の集中という事を考え合わせれば高すぎる感じはしない。晩霜など見れば一万五千円が六千円と走ったところで、人気は、ますます強くなるばかりであろう。

すでに豊富な消費地在庫数字も気にならないという市場である。現物を眺め、俵を考えれば、とても買えない相場であるが、とても買えない相場が軽々と二千円高をしている。

われわれは、四月14日の安値を本年の大底と判断し、それを確認するもので、大底を見きわめれば、あとは押し目を買っていけばよい。下げにも段があるように、上げにも段が必要である。三百円押しても五百円押しても、それは飛躍への段であるから無条件買いで判りやすい。

一方、手亡相場も様相が変わった。玉整理完了底値確認。国際的雑豆価格の高騰。ミシシッピー川流域の大災害。

手亡のケイ線も連休明け後は九千五、七百円ラインを突き抜ける格好である。

●編集部注
辛抱の果てに、買い波動に乗る事に成功している。問題はその後だ。

波動に乗り続けるにも鍛錬がいる。今は、そのロジック作りの段階だ。

【昭和四八年四月二八日小豆九月限大阪一万二八四〇円・四〇円高/東京一万二八六〇円・七〇円高】