昭和の風林史(昭和四八年五月二十四日掲載分)

暴落がある!! 時間の問題なり

小豆相場は暴落型である。かなりきつい下げが入るだろう。産地の低温だけでもっている格好だ。

「筒鳥のもの憂き声や旅も倦み 悌二郎」

低温からきている相場である。産地の気温が上がらないため異常気象を人々は深く刻み込んだ。大阪でもこの一両日肌寒さを感じさせた。

ところで相場のほうは強く見えるが、一応の限界に達している。

日柄の面でも四月14日から日足で31本を数える。

売り方の踏みも出た。

高値でかなり買いついた。

値段としては一万四百円から四割高に当たる。

現在の低温は、充分に買いきった相場である。

従って産地の温度が上昇してくると、この相場は支えを失って暴落する。

もし、今の水準を維持して六月上旬の発芽時期の低温、降霜を待つという相場つきになれば、その時は六千円相場も可能であろうが、見ていると①高値警戒人気が強い②煎れが出ているため五千円台は買い方の買いによって上げざるをえない③高値買いの玉が利食いに向かうため上伸力は鈍る④異常天候を織り込む⑤規制強化を警戒する―など、チェックしなければならぬ要因も目立ってこよう。

低温続きと押し目買い人気と買い方主力の巧妙な作戦によって、押し目待ちに押し目なしの相場になっているが、低温を眺めカラ売りは怖いという総強気になると、逆にこの相場は深い崩れが待ち受けることになるのだ。

現物が欲しくて買っている人は少ない。ほとんどの人が逆ザヤ狙いだ。冷害だ、凶作だ―と買い気が湧いたあとは、ちょっとしたキッカケで利食い売りの反落が一波が万波を呼んで大樹の倒れるが如く崩れだすものである。

線型も暴落線が出現している。

作付け面積の増反。

天候の回復。

不需要期入り。

在庫量の見直し。

相場の強い時は。なんとも感じないが、ひとたび反落に転ずれば、それらが大きく見えるのだ。

四十六年の二万円相場の時も五月十九日から千五百円を崩している。あの時も一万五千五百円から下げた。どのような大相場でも一本棒で節(ふし)なしでは勢いが続くものでない。

北海道先限も、東京、大阪、名古屋各先限も無気味な暴落線が刻まれた。高値買いつきは危険である。

●編集部註
 この時の相場はGAP(マド)にまみれている。

 踏んだり投げたりすると相場はマドを空けやすく、ごりごりの強気筋も躊躇する相場になった。

 異常相場はまだ先だ。

【昭和四八年五月二三日小豆十月限大阪一万五〇〇〇円・二四〇円高/東京一万四九二〇円・二三〇円高】