昭和の風林史(昭和四八年八月四日掲載分)

戻り売り人気 だが再び反騰へ

市場人気は戻り売りに片寄っているが、規制緩和後は案外大きな立ち直りが見込める小豆だった。

「渋の用かねて杜氏の夏見舞 華羽」

小豆期近限月の四千円。先限の六千円。いずれも大台は一万円のものであるが、下値にとどいた感じがした。

市場人気としては、あくまで戻り売りを主張するむきもあるが、規制の緩和に伴って、三千円強も下げた今の相場は高値の買いつきの玉の整理完了。売り方の利食い。そして買いに回るもの、戻りを待って売り直す者。古い取り組みがほどけ、新しい取り組みになろうとしている。

八月は例年相場も閑になる。旧のお盆だし、帰省する人も多い。また全国高校野球大会も始まる。

しかし後半からは秋の需要が活発になる。

規制がきつくて離散していた小豆に対する人気が、値を下げたこと、規制が緩和されること、作柄に対する見方が対立していること、インフレ下における換物人気が依然続いていること、大幅安で玉整理が進んだこと、買い方主力が微動だにしなかったこと―などから再び花形商品として小豆が人気を集めることが充分に予測出来る。

ところで今日八月第一土曜日は全商品取引所が週休二日制度実施の実験として休会する。

十月から商品取引所は完全週休二日制に踏み切る予定であるが、その前に八月と九月は第一、第三土曜日を休日とする。

証券市場は現在、第三土曜日を休日にしているが遅くとも来年から完全週休二日制が実施される見込み。

なに事につけ、後手後手と、常に踏み切りの悪い商品業界が、週休二日制について、いともあっさりしかも疾風(はやて)の如く決定してしまったことに業界は奇異の目で見ている。これには各取引所の人手不足という問題もあり待遇改善の意味も含まれていようが、物価問題に頭が痛い主務当局者も、取引所が一日休めば一日目立たず、完全週休二日制に

なれば、それだけ取引所相場に対する世間の目も遠のくという計算があったようである。

それにしてもバタバタと委託者に充分知らせる間もあらばこそ、全商連は理事会で決定し、業界から、その手ぬかりが批判されたが、相場の面にも休日が増え、時に三日連休ということもあって、かなり相場はどうにも影響する事であろう。

●編集部註
 世間への目くらましとしての週休二日制という考えは思いつかなかった。

 この時の市場が生産地相場中心であったからこそ出来た所業であろう。

 為替や海外相場の影響を受け易い現在の市場では、このタイムラグが時として致命傷になる。

【昭和四八年八月三日小豆一月限大阪一万六五三〇円・四〇円安/東京一万六七〇〇円・一四〇円安】