昭和の風林史(昭和四八年八月二日掲載分)

規制緩和せよ 人気回復が先決

小豆は人気が離れてしまっているからギコチない動きになる。規制の緩和が待たれる。

「いつしかに沙羅の落花も消えてなし 山彦」

第八ラウンド。どのような相場が展開されるであろうか。

新ポ、一月限のサヤは買えなかった。今までの新ポの様子とは、だいぶ違う。

高値から二千五百円を下げたいま、業者は、きつ過ぎる規制の緩和を期待している。作柄のほうも産地の降雨で旱ばつが避けられそうだ。

また、買い方も、自粛すべきところは自粛して無茶をしなかった。

結局、言ったとか、言わなかったとか騒いだ農林省の役人の『二万円を付けたら取り引き停止』という、おどかしのような警告が、この相場の毒気を抜いて、それはそれなりの効果を挙げたことになる。

十一、十二月限の売り玉は、窒息しかかっていたが、日に日に酸素を得てだいぶ楽になりつつある。しかし残念ながら売り玉はほとんど踏んでいるし、現物裏付けのヘッジ玉でしかない。

買い方は十二月限の八千五百円から九千円を思い切り買ったままだし、十一月限の八千円台の買い玉も多い。

それらは、今のところじっと我慢の子である。

なあに、巻き返しが必ずあるさ―と、それほど気にはしていないようだ。

さて、悪目買いにはいるにしても下値をどのあたりに見るか。

十二月限の七千円割れは買い場になろうという見方と、六月22日の安値十一月限で一万五千五百六十円。九月限の四千百三十円。ストップ安で付けて、あと大逆襲に転じたわけだが、あのあたりに足をつけるのではないかと見る向きもある。

注目しなければならないのは燃えていた上場全商品の相場が、全般に夏バテ。夏枯れ気味なことで、これはシカゴ大豆の相場でも五月末ブッシェル当たり十二㌦を突破したものが七月上旬七㌦まで崩れ、あと上場に転じて高値顔合わせ。

とうもろこし、小豆も大幅安のあと新高根に買われたように高値圏の波乱が小豆にも当てはめられるのかもしれない。

当面、高値買い玉の整理。規制の緩和待ち。作柄の推移。秋の天候と需要。府県産小豆の作況などを見守りながら人気の回復を待つところだ。

●編集部注
古今東西問わず、政が相場に絡むと罫線が歪む。七月の罫線は突飛な線やマドや星が出ている。八月は金大中事件等、

世相が不穏な空気で充満する。 不穏な空気の中、商品市場の仁義なき戦いは映画同様、泥沼化していく。

【昭和四八年八月一日小豆一月限大阪一万六五一〇円/東京一万六五九〇円】