昭和の風林史(昭和四八年九月六日掲載分)

まだ戻り売り だが底値に接近

積極的に弱気する時期は過ぎている。戻り売りである。強気するにもまだ少々早いところ。

「虫売のひろげて屋台大いなり 蛍子」

昭和46年の増山相場の時と市場規模も環境も違うけれど二万一千四百円という小豆の高値を付けたあとを、振り返ってみるのも、なにかの参考になるだろう。

この時の相場の天井は九月17日。それが彼岸まで崩れて、あと反発、もう一度十月新ポ叩かれたあと十月七日の大天井を取りに行った。

十月七日、この日帯広に霜が降りたがストップで買った値段が穀物史上最高の二万一千四百円である。

これが崩れだした。十月中も、十一月中も崩れた。そして十二月も安い。

一月大発会後も下げ続け、遂にサ期限は一万三千円を一月12日に割った。

十月七日台天井から三カ月を下げて、一月12日ひとまず底入れした。その相場が二月12日まで丸一カ月反騰して、およそ四千円幅を戻した。八千円下げの半値戻しに当たる。

その事を思うと今回の相場は七月11日大天井して、まだ日は浅い。昔ほど、ゆうちょうな事は言っておれないかもしれないが、せめて二カ月ぐらいは整理に日柄を要するだろう。悪くいけば46年のときみたいに三カ月を要するかもしれぬ。

しかし筆者は一万三千円前後の相場は弱きしても駄目だと思う。

これが下げ日数不足にもかかわらず、急反騰するなら、もちろん絶好の売りになる。

だが、安値低迷、あるいはジリ安の相場なら、一歩一歩底値に接近していくのであるから、長期方針で細く長くあせらずに買っていくほうが判りやすいと思う。

そして、いったん大底を確認すれば、もうそのあとは強気強気で押し目買いに徹すればよいのである。

現時点では強気方針を打ち出すには、いささか早いし、さりとて積極弱気も、もう過ぎている。従って戻り売りであるが、水準の低い売り玉は持たないように心がけなければならない。

要するに底打ちを待つ。天井した相場は、やはりどこかで大底する。

大底した相場は、あと、どのような悪い材料が出現しようと出直っていく。

それが相場である。

どこで大底を打つか、いまはそれを待てばよいのではないかろうか。なにもあわてることはないところだ。

●編集部注 
 まだ撃つな、充分引き付けよ―。古今東西の戦争映画でよくある光景だ。

【昭和四八年九月五日小豆二月限大阪一万三〇三〇円・二四〇円高/東京一万二九九〇円・一九〇円高】