昭和の風林史(昭和四八年九月八日掲載分)

急反発は売り 未だ底値確認せず

先限の一万九百円どころで止まるだろう。だが精一杯反発して千二百円幅だ。また売られる。

「水垢に細る筧や吾亦紅 芳美」

新聞社のヘリコプターが上空をグルグル旋回している。交通渋滞か、火事があったのだろうか、あんまり相場が安いのでヘリコプターがやってきたのかと、変な錯覚を起こした。

筆者は三日ばかり上京していた。ひどい雨だった。相場のほうも車軸を流すが如き全商品暴落で、パニック状態だ。

その雨の中、暴落の中で東穀会は五日はゴルフコンペで気楽なものよ。

七日金曜日。小豆も手亡も厳粛なS安である。

月二回の週休二日制実施後、初の三日新ポは、ダダ洩れストップ安―というジンクスが生まれた。

山大商事の杉山大人(だいじん)は二日限の一万三千円割れ地点を、このあたり止まるところで目先的に反発もあろう―と買っていたが、そのあとの下げがS安二発。まさしく止めて止まらぬ四・三の手である。

桑名筋は、やるだろうな―と思っていたが、いざ投げるとなると綺麗さっぱり未練もなにもサラリと断ち切って、壮烈なぶん投げで、これは彼の信条とするところ。

それで、この小豆相場をどう見るか。

筆者はこう思う。

①値段は、いいところに来ている。もう一発のS安は下げすぎになろう。

②投げが落ち着けば反発しよう。しかし反発場面は絶好の売りになる。

③これからは日数をかぞれる相場だ。ジリ安である。もう一発のS安があれば戻す。

④下値(止まるのは)先限一万九百円あたり。

この相場が買いに変わる時期は必ず来るけれど人気が明るく陽転するには時間がかかる。

それとも作柄に早霜、早冷え、あるいは長雨、立ち枯れの被害が出て、相場が急変するか?であるが、この場合、相場を大きく立ち直らすためには①玉整理完了(総投げ)②売り込み③下げ過ぎた値段―という要因を必要とし、その要因如何によって単なる戻りともなれば出戻りともなろう。

目先的には一万九百円以下短期狙いの買い場になろう。だが反発幅は千二百円幅が精一杯と見る。ジリ貧かドカ貧で底を取りに行く途中の相場と見ればよい。未だ底値を確認せず。

●編集部注
 相場以外でも、この時と今はよく似ている。

 相場は下がっている。そして大雨が降っている。

 平成の現在は沖縄基地や集団的自衛権問題で炎上しているが、この当時、自衛隊に違憲判決が出た。

【昭和四八年九月七日小豆二月限大阪一万一六三〇円・七〇〇円安/東京一万一五九〇円・七〇〇円安】