昭和の風林史(昭和四七年十一月二十七日掲載分)

棒下げする!! 週末引け味悪し

小豆相場の週末の引け味は今週五、七百丁安をする無気味さをただよわせた。下げは急であろう。

「みぞるるや雑炊に身はあたたまる 蛇笏」

いまの小豆相場に対して押し目買い人気が強いか。それとも戻り売り人気が強いか。

どちらかと言えば、戻り売り人気が強いように思う。市場は総じて弱い人気が多ければ、相場は上のものだというけれど…。そういう事もあるが、そうでない時もある。

先般の安値七千七百円の三割高。すなわち一万円のところは、ある種の見方では〝相場の節〟である。ケイ線では五百円棒が折れたところ。週間棒で八本。上昇は終了した。

各限月別の節足線はすべて売りになっている。

それで、下値であるが三分の一押しと見る人。半値押しと見る人。三分の二押しを考える人。さまざま。

見ていると相場は白けてきたように思う。

豊作年の出盛り期に、一時的現象と人気の片寄りで暴走した。

しかも中国小豆の輸入一万㌧が契約出来ているし台湾小豆も入荷する。

さらに、取り組み内部要因はカラ売り玉の踏み上げ、高値買いつき。

その、よってきたる結果は、現物の集中であり、実需不振、下値の抵抗力なしで暴落ものだ。

いずれこの小豆は九千円を割るだろう。

週末の引け味では、今週五、七百丁安を思わせるものがあった。

他の物価との比較や、お金と品物についての考え方や、いかにも一万円以下の小豆が安いように言われ、なるほどそれもそうだと思ったりする事もある。しかしそれは、その時、相場が上げているからであって、いったん下げだした相場に向かって、そのようなことを叫んでみてもナンセンス、聞く耳もたないものだ。

上げる時は理由の如何を問わず、なにがどうあろうと上げるのが相場なら、行きつけば、環境がどうであれ、今度は下げるのが相場である。

消費地に品物が集まりつつある。

市況が上向く時は実需も早く買わなければ高くなると急ぐが、下向きに転ずれば、一日一日様子を眺め必要最低限のものしか手当てしないものである。

小豆相場は師走を待たずに天井して、これから下げ道中に入る。

●編集部注
 確かに下げは急だった。問題は何処まで下がるか。 

 逆もまた真なり。手仕舞いは、相場人における永遠のテーマといえる。

【昭和四七年十一月二五日小豆四月限大阪九七三〇円・一四〇円安/東京九七九〇円・四〇円安】