お昼の弁当楽しみ

食欲がまったくないから、食べものの話でもしようか。関西なら〝きつねうどん〟であろう。

時雨降るただいそがしくつまらなく 友次郎。

初冬に降る通り雨を「時雨」という。
山頭火は「うしろすがたのしぐれてゆくか」。
ああ、もう、そおいう時候になりましたか。

晩は早く寝るようにしています。夕飯になにか食べたかな、と考えます。食べても食べていなくても、寝てしまえば同じ。

夜中に目が覚めても、ヘルパーさんが買ってきた袋を開けて、食べられそうなものをつまむ。
栄養が不足している。家の中の廊下でふらつく。ビタミン剤を一錠くらい飲む。

会社に出てきている時は、お昼に弁当を買ってきてもらう。あるいは出前を取ってもらう。
鮨屋も蕎麦屋もあるが、食堂に入る気にならない。

新幹線の食堂で、ターバンを巻いたインド人らしい人が、カレーを注文して、ソースを全部かけて、胡椒を全部かけて、ソースのスープのようなものをうまそうに食べていた。

ああいう食べかたもあるのかと感心した。

蕎麦屋で、笊蕎麦を汁にちょっとだけつけてすすり込む。粋な食べかたというが、汁にたっぷりつけないと味がないだろう。蕎麦は噛まずに呑み込まないと味がない、という人もいる。

十割蕎麦と看板を出しているところもある。

その割りに、蕎麦の味はない。蕎麦は風味である。のどごしである。

食いものの事を言い出したらキリがない。きつねうどん一ツとっても、昆布だしや揚げがある。関西は安もののうどん屋でも味がある。