冷え込み厳しい

閑な市場である。世間様は冷え込んで、森閑。近く選挙がある。景気が良くなる党にしたい。

お月様が地蔵さまにお寒くなりました 山頭火。

正月に向かうのだから寒くなるのは自然だが、くしゃみが止まらない。

駅で缶コーヒーを一二〇円で毎朝買う。温かいミルクココアというものもあった。明日からはそれにする。

今夜は、すき焼き鍋というのを買ってきますとヘルパーさんが言う。そんなものがあるのか。

この間のお昼は、会社の食卓で湯豆腐をしてくれた。なにかと気をつかってくれます。

夕方、家へ帰ってきても朝のままということは、なんとなくわびしい。以前は、カナリヤが挨拶してくれた。そのカナリアも去った。

総入れ歯なのに、その入れ歯を家に忘れてきてしまったので、お昼はうどんでもすすることにする。

『お元気ですね』と言われるが、本当は元気でない。見かけ倒しである。台湾語で老人のことをラホヤという。

家の中で、ステッキを突いている。運動しないと足腰が弱る。運動しないと起きることもできないから、家の中の廊下を歩いてみる。

門の呼び鈴を鳴らす人が来ても、出て行かない。モノ売りには用はない。

なんで体がこんなに弱るのか。考えてみたら食べないからだ。冷蔵庫の中には、プリンが二ツ三ツあるだけだ。チーズでも買ってきてもらえば良いのに。

ヘルパーさんが冷蔵庫を開けてびっくりするのは、なにもないからだ。

葱の白いところを買ってきてもらい、味噌汁にでもすれば良いと思うことは思うのである。