これでも陸軍二等兵である。戦争に参加していた。 敗戦の日、氷砂糖を少しもらった。
一汁に一菜庵や根深汁 水竹居。
葱をぶつ切りにしただけの味噌汁を根深汁という。
白葱の白いところを、斜めに薄く切って、舌を焼く ような熱い汁にする。豆腐など浮かすと食べやすい 。
冬の朝は、御飯を食べないで出てくる人もいる。会社に来て、近くの喫茶店でトーストとコーヒーを注文する。
それも良いが、やはり味噌汁である。
お昼は、カレーかラーメンか。たいがい、決まって いる。晩はヘルパーさんがにゅうめんを作ってくれる。
御飯を食べないといけませんと言われ、おにぎりなどを買ってきてもらうが、少ししか食べないので、 残してしまう。
残したおにぎりを鍋にいれて、お粥にする。
お粥は梅干に限る。白菜の浅漬けに、たっぷりの醤油をかけるのもよい。
デパートで知ったのだが、沢庵というものはいろいろ種類がある。
鰹節で味をつけたものもある。沢庵は、やはり純の沢庵であろう。
漬け物は、塩加減と重しである。
漬け物の味が判ってきたから、そろそろ齢である。
カレーの皿の横につけてある福神漬けというものにも、吟味すると複雑な味がある。本当は七種の野菜が入っている。
十五才の時に兵隊にとられ、来る日も来る日も糸瓜の雑炊である。
醤油で味がついているから、おじやである。
昼は青いバナナ三本。三八式騎兵銃を担いで、日夜、山野を駆け巡る。遠い空に、B29が飛んでいた。
戦争に勝つなどと思わなかった。