寒くなってくると、温かい食べもののことをしきりに考える。男やもめで寝るのが趣味。
うしろ姿のしぐれてゆくか 山頭火。
いま頃が、暑くなく、寒くなく、いい季節である。食べるものも段々おいしくなる。
流れ行く大根の葉の早さかな・虚子。
大根役者というのは、どんな芸をしても当たらない。大根は、いろいろな食べ方があるが、なににしても当たらない。
鰹節と昆布でゆっくり出汁を取った汁で煮込んだ大根は、冷ましたあと、次の日に食べるとおいしい。
厚揚げや、ごぼ天など加えるとよい。
冬になると、薩摩汁をヘルパーさんに頼む。少し大きめの鍋に、余分なくらい作ってもらう。小芋など入っているとよいですね。
味噌のかわりに、酒粕などで粕汁もよい。
寒くなってくると、料理にも楽しみが出てきます。料理といっても、男手前。大根と白葱があればよい。牡蠣などあれば、大御馳走だ。
命は鰹節と昆布である。大阪のけつね(きつね)うどんがうまいのは、要するに出汁である。
関東では、そばに出汁をたっぷりつけると笑われるという。笑われてもよい。うまいもの勝ちだ。
『きょうのお昼はなににしますか?』と、もう聞きに来てくれてもよい。
そうだな、けつねうどんの出前でよい。
それにしても、体がきつい。なぜだか判らない。家に帰ったら、すぐ横になろう。
なにも食べたいものはない。寝たら朝まで目は覚めない。
寒くなってくるから、電気毛布を出そう。