昭和の風林史(昭和四六年七月五日掲載分)

急落があれば反騰力が強化す

今週は突っ込むかもしれないが叩き込めば反騰力が、ますます強くなる。大勢強気方針不変。

「風鈴のそろはぬ音なれ二つ吊り 汀女」

見ていると、かなり迷いを深めているようだ。相場というものは、そうそういつも判りやすい動きをするものでなく、時に相場自体がふと迷いの色を見せたりすることもある。

なぜ人様は迷うのか。それは、こうなるはずだと決めてかかるからである。こうなるはずが、そうならない時もある。

あわてることはない。少し長い目で見る。七月上旬の終わりの低温。七月中旬の低温、そして下旬の寒気という予報が当たれば七千円抜けである。

市場人気は一手指すごとに変わると言いたいがそれは囲碁の解説用語で、こちらのほうはひと場、ひと場で変化している。

強くなったり、弱くなったり。しかし作柄のほうは一般に言われているような悪さ(四、五日遅れ)ではなく、業界クロウト間ではもっと悪いと判断しているのだ。

それが、どこで相場に反映しだすかであろう。

弱気筋は①相場に力がなくなった②というのもすでに凶作相場を買った値段で③大きな売り込み玉が踏み終わり④買い手大手は自粛ムードで⑤作柄にしてもまだ五分と五分。
だから天候に恵まれたら今までの無理してきた疲労が一度に出て、ドッと崩れてしまう相場だ―と見ていた。

ところが買い方は旧穀限月は崩れようがないし新穀限月にしても現に作況は感心しないうえに天気予報は先行き悲観的である。気迷いを深めて安心売り傾向になれば、必ずまた火がつく相場だ。週明けの安いところは仕込み場になろう―と見ていた。

さて、もう一度下げて、高値更新はそれからになるのか、それとも思うほど下げず水準を維持しながら作柄の進みぐあいを見るのか、今週は考え出すと難かしく見える相場であろうが、大勢的に遠くから眺めれば、上値を残している相場に違いない。

言えることは大天井をしていないこと。作柄がほぼ決まるまでは強気一貫でよいこと。高水準だからゆさぶりもきつくなる―などである。

●編集部注

昔の小豆相場はこの時期、北海道のお天気に一喜一憂していたが、それも今は昔。現代は金相場であるが、それも色あせつつある。ところが先週金が安値に叩き込まれたとき、日経新聞はマネー流出続く…と金の弱気を一面で報じた。今の処、まさにそこがボトムとなって反発している。人気が弱気に大きく傾いた金相場、意外な反発を見るのではないか。
【昭和四六年七月三日小豆十二月限大阪一九〇円安/東京二四〇円安】