昭和の風林史(昭和五七年二月二十三日掲載分)

前の高値近辺は重要警戒

三段上げに入ったと見る側と、戻り天井取りにいくと見る側とで強弱は二分される。

小豆は押し目完了で七千円目標という強い人気に、売っている側は怪我の少ないうちに逃げておこうという気になる。

しかし一方では二月10日の高値近辺は売り場だという信念の弱気もいる。

相場強弱は自由で義理だてする必要はない。自分がこうだと思ったら方針を押し通す。いやそうじゃない、この相場、やはり強いと思えば、ポジションをその場で変えればよい。

そして、迷わば休め、判らない時は離脱せよと昔から教えているのだから、判らん時は身を退けばよい。

確かに相場は上昇トレンドの中にある。見方によれば三段上げ開始の姿で七千円、八千円があるかもしれない大局線だ。

反面、六千円どころは先般役所から警告のブザーが鳴らされている。

これは次期枠問題に絡んでこようし、行政指導による輸入の積極化も考えられる事である。

またIQ制度の廃止問題にしても、つきまとう。

買い方は、相場はどうにでも出来ると思っているかもしれないが、そんなものではない。
人、天に勝って天定まり、天定まることにより人を制す。これは、とりもなおさず日柄である。

去年の11月19日二番底入れから五千円余、八月大天井に対して三分の二戻し、日柄は三月(つき)またがり六十余日。

相場定石からいえば、春の相場の天井圏と見るところでなかろうか。

いまの相場を買うということは少なくとも七千円相場を想定してのことである。強弱は、もとより自由であるが、火中の栗を拾うようにも思える。

●編集部註
 先日も述べたが、マドは罫線に咲いた相場の華である。
 本邦では酒田五法における「三空」等がマドの活用法として有名だが、ジョン・J・マーフィーの書いた『先物市場のテクニカル分析』読むと、マド(GAP)はコモン・ギャップ、ランナウェイ・ギャップ、ブレイクアウェイ・ギャップ、イグゾーション・ギャップ等々複数に分類されている。
 82年2月10日、年初来高値を記録した相場はその前後でマドが出来ており、これはアイランド・リバーサル・トップと呼ばれるマドの応用形。上記の文章が紙面を飾る頃に、相場はこの離れ小島のマドを埋める。
 概してマドはサポート&レジスタンスとなりやすく、埋まるとヤレヤレの反転が生じやすい。
 実際、この時も相場はマドを埋めた後に反落。ただ、そこから約半月かけて三角保合いを形成。放れ待ちの展開になる。