昭和の風林史(昭和五七年八月二日掲載分)

閑散病という病気がでる  

安い所を叩いても取れない小豆だ。

小豆相場は三分の一押しだと九千八百三十円。

人気が強くなり過ぎたため、様子を見たいと相場さまが言う。

場面は閑散。もう少し人気を弾ませて、千五百円あたりに持ち込めば、商いもできただろうに、玄人相場だけに慎重だ。

産地天候が回復して、これなら平年作は大丈夫ということならば三万円中心の上七百円、下七百円。

この圏内での需給相場になるかもしれない。

それにしても閑散病という病気になると、少々厄介である。

甲子園の野球や、旧のお盆に入れば例年相場の方も夏休みである。

先般の仕手崩れの下げを取った人は早々と夏休み態勢である。

反対にあの崩れをまともにかぶった人は終戦処理が続いていて、一年、二年は戦線復帰できない。

相場が閑になると、やはり現物の圧迫が値段の上にでる。

重たいという感じだ。

限月が三本になったけれど、六本揃うまでは健康体とは言えない。

天候が崩れてドラマチックな展開になれば話は変わるが平年作予想ということで落ち着いたら事情は違ってこよう。

七月19日安値からの二千五百円高は暴落の単なる反動に過ぎなかったということになるから、そうなればそれまた考え方を変えなければならない。

やはり、それは八月十五日頃までの作柄と、その作柄をどのように相場が受けとめてゆくかの流れを見ることになろう。

目先は地合につられて売ってもとれない。

●編集部註
 相場は閑散。先日も触れたが、この日台風10号は愛知県に上陸。死者・行方不明者合わせて95名の被害者を出す。
 甲子園はこの週末から始まる。平成30年は10 0回記念大会らしいが、この年の決勝戦は2年連続17回目の出場となる広島商業と、3年ぶり3回目の出場を決めた名将蔦監督が率いる池田高校がぶつかった。
 古豪、広商は「コツコツと点を取って守り切る」というこれまでの甲子園での戦い方で臨んだのに対し、74年に初出場した際にメンバーが11人しかいなかった事で「さわやかイレブン」と称され、有名になった池田は、金属バットの特性を生かして緻密なプレーはせずにとにかく打ちまくる、通称「やまびこ打線」で対峙。終わってみれば12―2の大差で初優勝を決める。
 池田は翌年の春のセンバツでも優勝。夏の大会に連続出場するも、準決勝で桑田と清原がいたPL学園と対戦。0―7の完封負けを喫した。