昭和の風林史(昭和五七年八月十八日掲載分)

小豆は三万円割れがある

輸大買いの小豆売りがご正解という日が近い。人気にまどわされては相場は取れん。

シカゴが下げても穀取輸入大豆は左程敏感に反応しなくなったのは、市場内部要因と円安。それにシカゴとの大逆ザヤで下げ余地ない値にとどいている証拠である。

テクニカルな面で今の輸入大豆は買いの一手である。上げ足がつくと非常に速いテンポの鋭角的急伸態勢に移るだろう。

証拠金関係で小豆の倍いける輸大だけに、ここは思い切って買っても大丈夫だ。

上げ足がついてから飛び乗る手もある。結構それで間に合うしS高も取れよう。

逆に小豆はこれから下だ。三万一千円底などと楽観していると、三万円割れ(先限)に素通りするだろう。線型は勿論悪い。

作柄も九分作から平年作のあいだぐらいだし、作付け面積もふえているようだ。そして天気も騒ぐほど悪くない。

八月11、12日に飛びつき買いした玉が投げに入るところ。

先限三万円割れなんて、そんな馬鹿なと思っている人ばかりだと思う。

ところが、それがあるのだから、まあ見ているがよい。あとから気のつくテンカン病(やまい)。

小豆売りと、輸大買いと、どっちが投機の効率がよいか。

輸大の五百丁幅、小豆の千五百丁幅。どちらもそのぐらいは目先あるだろう。とすれば同じ証拠金で倍いける輸大買いが早道である。

相場というものは極限に達すると理外の理のはたらきをする。極限とは値段の極限もあれば日柄もあるし人気の片寄りもある。また逆ザヤもそうだし、取り組みでもいえるわけだ。

●編集部註
 輸入大豆は消費地市場で小豆相場は生産地市場なので、風林火山のロジックに矛盾はない。ただ、消費地市場は為替要因が重要になってくる。
 経企庁の年次世界経済報告を見ると米国はこの頃景気後退期なのだが、高金利から市場はドル買いが優勢だった。これは当時のドル指数の動きを見るとよくわかる。綺麗な上昇トレンドになっている。
 ドルが高いと、ドル建て商品の価格は安くなる。ドル高の流れに反比例するように、シカゴ大豆の週足は綺麗な下降トレンドになっている。
 ドル高は米国の輸出ににとってマイナス材料。更にこの頃のドル高で輸出の減少傾向に拍車がかかり、これが米国景気の悪化要因に働いていた。