下げトレンドは厳然たり
相場というものは結局は流れに、ゆだねられる。無理や焦りから離れ、自然に帰る。
穀取業界は、イライラ気分が高まっている。輸入大豆相場が動かん。小豆の商いは細る。
商取業界全般に焦燥感と不快指数が上昇している。
この現象は商品界だけでなく証券界も似た現象。
さて小豆は、北海道の作付け面積27%増=三万四千七百㌶。この数字は早くから伝わっていたから一応織り込み済みと片づけられた。
しかしお天気のほうは至極順調。昨年好成績だった〝エリモ小豆〟がふえているから、53年(三万四千百㌶)の反収三・六俵を上回るかもしれないという予想。
四市場在庫のほうは昨年五月末二十万三千二百八十七俵。今年五月末は二十三万九百九十六俵。
昨年と今年では輸入枠の違いが大きい。
また海外雑豆市況は全般に去年の半値近い値下りだ。
高いのは小豆だけである。
今の小豆市場は取り組みの片寄りと現物の偏在で、なんとも異様だが、これもどこかで決着がつくだろう。その時、価格は、どのあたりで自然の姿になるのか。
東西取り組み合計は漸増。去年の今時分に比較するとまだ六千枚ほど少ないが、去年の異常気象による市場人気の燃えかたと、現在の豊作ムードに逆行する仕手介在市場の醒めた人気とでは随分開きがある。
ところで精糖先限の水準は60カ月前の六月13日安値(百七十八円)近くまで下げて相場商品の帰巣性という怖さを再認識させた。
では小豆の60カ月前の値段は?といえば二万六千円~七千円である。近年一番安かったのは53年一月発会一万八千二百九十円。
この年は豊作で六月26日三万二千四百十円で早々と天候相場の天井を打ち二万二百八十円まで崩れた。
相場の帰巣本能というものは、怖いと思う。
●編集部註
高いのは小豆だけ―。
よろしい。ならば売ろうではないか、と売り屋は考える。商品先物の華はカラ売りにある。
ここで、この当時の日経平均株価と東京小豆相場の週足を並列で比較してみよう。
1981年終盤から翌年序盤にかけて、日経平均は7000~8000円であった。この時、小豆のレンジは1万600 0~8000円。これが2年半後には、ほぼパリティの関係に。資金が株式に流れていくさまが非常によくわかる。