昭和の風林史(昭和五七年十二月九日掲載分)

輸大ピンで50万円取れる

輸入大豆の師走底を買えばピンで50万円取れるだろう。輸大買いが本命中の本命。

農産物6品目の輸入枠拡大は、本来なら小豆相場、夜放れS安である。

しかし相場水準が下げ続けたあとの底値圏だけに、悪材出尽くしと受けとる見方が支配する。

輸入枠拡大→相場下落→83年産北海小豆の作付け大幅減反→(減反の年は凶作になりやすいから)天候不順→相場高騰というサイクルも考えられる。

あと残っている軟材料は実収高発表で、これが百二十万俵説もあるが、これとて知ったらしまい。

過去、不景気の年は年末底が多い。小豆も輸大も生糸も乾繭も、底を打った感じである。

市場人気は一発で強気がふえた。これは余り面白くない。

が、6品目の枠拡大ということで相場が伸び悩めば、戻り売り人気にまたなるかもしれない。

そのほうが強弱に起伏があってよいだろう。

来春は二万七千五百円の一割高が目標になる。春高相場は、だいたいそうしたものである。

目先的にはどうか。安いところを買う。これは底の入った相場は、いかなることがあっても運鈍根の買いひと筋であるからだ。

輸入大豆のほうも年末底である。52年は12月6日底。53年12月25日底。55年1月9日底。56年12月18日―。これは輸大の相場癖である。

目下のところT社玉絡みで内部要因も、また外部要因も不透明であるが、T社玉が投げてきても懐で食い合っているからS安一発分瞬間安で終わるだろう。

T社が投げるか投げんかは判らない。

人気面は弱気支配である。中豆圧迫が盛んにいわれるが三千七百円→六百円などという値段は、どんな無理しても買い場だ。この買いは来春ピンで50万円取れる玉になる。

●編集部註
 大納会の手前あたりから大発会にかけては往々にして相場の端境期となりやすい。それは多分に日本の市場と米国市場との時間差から来る所もあるのだが、突飛な値をつける事も少なくない。
 平穏な大納会を迎えた相場が、大発会でストップ安で始まり、新年早々お客様のお家に追証を貰いに伺った経験がある。
 故になかなか勝負の踏ん切りがつかない。そして、動けない相場は良く動くものなのである。
 所詮は運だが、萩本欽一によると運には「運がある」「運になる」「運が来る」の3種類あるのだとか。生まれついた運は別にして、日ごろの所業が己が運を育てるという。