昭和の風林史(昭和五七年十月十三日掲載分)

輸大二番限など売り時だ

輸入大豆期近は煎れ相場。当限など生糸八月天井に見せたのと同じ線型である。

輸入大豆10月限の火薬庫に火が入ってS高の煎れ場面。

10限一代の日足は、さながら八月上旬に見せた生糸の天井取りの線型と同じ格好である。

市場人気は輸大前二本に対して、まっ赤な炎のように強くなった。

売り過ぎだ。品物がない―と。

しかし、このように人気が強くなった時分が、相場としては〝売り時〟である。

当限は買い方が煎れを取りながら受け切って、来月に戦線を延長すれば…売り方は、たまらんだろうという。確かに当限の一連の売りは、踏まされるのが見えている。砂糖売り、小豆売りで連勝してきた筋だが、どっこい輸大当限は不覚にも掴まっている。

輸大市場が荒れているから小豆のほうは超薄商いで、少々の玉の出具合いによる値付きだ。

これも、一段安ならば買いたい。戻れば売ろうの気持ちが見える。

小豆の週間足は七月19日安値と十月1日安値が両足つきで、本当なら底型といってもよい。

これは、去年の秋の両足つきの大底と同型でもある。

仮りに先日の安値が底であるとしても、売り込みが不足しているように思う。売り玉は、むしろ利食いしてしまい、高値の買い玉が引かされて辛抱している姿は、相場出直りに、ほど遠い感じでもある。

ただし、なにかのインパクトが今の相場を刺激すると値が宙に浮いているだけに急伸する可能性なきにしもあらず。

これは相場が煮え詰まって悪材料を織り込んだ時に発生する現象である。

ただし、今その事を考えて買うのはどうだろうか。なんとなく、もう一段安に放れる格好の罫線に見えてしょうがないだけに、あわてることもなさそうである。
●編集部註
 社会も、相場も漠然と、空気が澱んでいる。
 この前の週、夕張炭鉱が閉山した。
 今でこそ石炭は新たな活路が見出されているのだが、この頃の炭鉱は完全な斜陽産業であった。
 各地の炭鉱町は生き残りをかけた模索が続く。
 関東で生き残り策で最も成功したのが福島県常磐炭鉱であろう。76年に閉山したが、掘削時の厄介者であった温泉を利用して「常磐ハワイアンセンター」を作り、今も「スパリゾートハワイアンズ」
の名で年間150万人が訪れる観光地になった。
 夕張メロンも生き残り策の一つであった。既に一部で有名になっていたが、炭鉱閉山と同じ年に全国出荷が可能になり、一大ブランドとなる。