変化しつつある先物業界
銀の相場を勉強している人が急増している。しかし看板のない店が多いのが難点だ。
これからは銀の相場の時代だ―という。
東京金取引所に上場される銀は証拠金も手頃だし、相場の動きも金に連動する。そしてこれは国内だけの相場でないところが、一般受けするようだ。
国際商品としての輸入大豆は大きな取り組みと出来高で人気商品の第一位にあるが、中国大豆とのからみなどの難点がある。
また輸入商社のポジションが時としてオーバー・ヘッジになり、天災期を別にして、輸大とは売るものなりとおぼえたり。
大衆は順ザヤ相場のサヤすべりに泣かされる。
なにによらず相場は難かしいものであるが、市場内部要因や仕手的な動きに左右されやすい市場は、避けて通るという傾向になりつつあるようだ。
小豆にしても、年一回天災期のお祭りだけに参加すればよいという風潮のようだ。
たび重なる過去の仕手相場で人気を失い、いままたIQ商品の特性が、市場の限界を知らしめた。
このようにして商品先物市場は、理解が深まるに伴い、投機家は市場を選び、商品を自らの意志で選別する。
制度政策が価格形成に及ぼす影響の多い商品はやはり限界というものを感じさせる。
東京金取引所の新しい制度である金のストップ・ロスは、リスク限定の意味からも多くの人に期待されているが、目下のところこれを受け入れる側の取引員がリスクヘッジの手段を手さぐり中で、ほとんどのところが様子を見る。できるだけストップ・ロスの注文を受けない。
制度はあっても飾りとして床の間に置いておくことになりそうだ。
理想と現実の違いというものを今後どのようにして近づけるかである。
●編集部註
本当に〝これからは銀の相場の時代だ〟であったのだろうか―。
1984年1月31日、東京金は出来高266枚、総取組高は1万293枚。東京銀は出来高3,407枚、総取組高は4万7,462枚。因みに同日のNY金は出来高4万686枚、総取組高12万3,349枚、NY銀は出来高3万5,348枚、総取組高6万1,741枚であった。
2020年1月31日、NY金の出来高は36万1,502枚、総取組高は67万8,817枚。NY銀は出来高7万747枚、総取組高は22万9,312枚。これに対し、東京金は出来高3万1,015枚、総取組高は8万738枚。東京銀は出来高43枚、総取組高は1,131枚である。
一言でいうと「どうしてこうなった」なのだが、胴元に愛がなく、顧客本位でなかった、と答えるのが正解かも知れない。