昭和の風林史(昭和五九年一月二十日掲載分)

小豆は一ツの山場迎える

小豆は煎れによる大出来高。先のほうの限月の押し目買い人気に傾いてきた。

小豆市場は売り玉辛抱の限界にきて煎れ場面となった。

当限が下がらないし、二番限も当限と同じ取り組み内容で、しかも輸入小豆の入荷は量的に見込めない。

台湾小豆は日本の相場を反映して現地の思惑も加わり高値を付けている。

当限規制強化で利食いした買い方は二番限、三番限に新規買いを入れ、大下ザヤの先二本も煽られている。こうなると、行くところまで行かねば納まらんという人気になった。

しかし古品現物北海道産小豆は末端の売れ行きは止まっている。

定期主導の(1)供用品薄、(2)売り込み型内部要因、(3)大逆ザヤ、(4)薄商い下の陽動による煎れ―という、当然といえば当然だし、仕方ないといえば仕方のない場面だが、それも相場、これも相場と、釈然としないものを持ちながらも割り切るより仕方のないところ。

買って面白いように玉が回転している側にすれば釈然としすぎるほど釈然としている相場である。

品物(供用品)がない以上買うしかない。相場は道徳ではない。あくまで銭儲けの場であり勝負の世界である。負けて泣き事いうぐらいなら、はじめから相場などするな―と。

売り方もようやくただ事でないのを知りだしたあとの事はどうなるかは判らないが、もうたまらんと煎れたわけだ。

相場は、最も強く見えたところが応々にして天井になる。

線でいう「煎れ上げ化け線」。夜放れ高。大出来高そして、万人弱気しては駄目だと本気で思い込んだ。

今更の感なきにしも非ずだが、さしもの大逆ザヤ相場も先限が買われようやく終わりに近づいてきた。

恐らくこの相場の反動は予想外に大きいものとなろう。舞台は回り持ちだ。

●編集部註
 丁度この少し前、米国では時の大統領ロナルドレーガンが一般教書演説で「強いアメリカ」を強調。現在の大統領ドナルド・トランプが掲げている主張や選挙戦略の元ネタとされているものである。
 トランプはレーガンいなりたがっている―と指摘している人は少なくない。しかし、先の大統領選でトランプ勝利を予測した数少ない人物として知られるレイモンド・メリマン氏は、自身の月刊レポートで彼をハーバート・フーバーに準えている。トランプと違い実務家として数多くの政治家から尊敬されているフーバーだが、在任中に起こった世界大恐慌の対応で味噌をつけてしまった。歴史とは皮肉なものである。