昭和の風林史(昭和五九年四月二十六日掲載分)

九のつく年の天気は怖い

無理に買え、買え言わなくても九のつく年がどんな年か知る人は黙って買う小豆だ。

只今小豆の場面は(1)四月限納会事情と受け・渡し玉の今後について。(2)中国小豆の入荷と在庫増。(3)産地北海道の春耕と小豆作付け予想。(4)五月、六月の産地気象。(5)ゴールデン・ウイーク期間の消費動向。(6)二番限に回る六月限に対する規制(増証)。

以上について、強気と弱気の意見、考え方が区分されるわけだ。

全般的に人気のほうは中国小豆の入船あいつぐのを心配して、安かったら買ってもよいが、まだここは様子を見たいという段階。

もとより、本年は、かなりの輸入がなければ、北海道凶作尻だけに穀取の小豆市場は維持できない。

輸入商社は成約したものは定期にヘッジするのが商売。投機家は将来を思惑するのが商売。

要するに夏の北海道それも六月と七月のお天気が天王山である。

もう一ツ、これは市場の常識であるが、輸入商社は相場を潰して、なんのメリットもない。相場高水準維持しての安定供給を心掛けるわけだ。

もう一ツはホクレンの販売姿勢である。できるだけ高い値段で売るのは当然。

本日三面の小豆トレンド。56年の相場(前年不作、この年も不作)が、どうであったかを考えてみるために掲載した。

当時の水準と今の値頃を比較してみたい。

それと、56年も五月25日から活火山が活動しだした。

思い出すのは去年も五月26日大安値である。次の日から相場は六月中一杯、七月中一杯と暴走して行った。

すくなくとも小豆をやる人は九のつく年は売るべからずの経験を持っているはずである。

まして異常な天候が今年ほど判然としていることも珍しい。天運に逆らうことなかれである。時運のおもむくところに従う。

●編集部註

 九のつく年は売るべからず―。所謂「アノマリー」というやつである。

 公私を問わず、大なり小なり「アノマリー」というものは存在する。そのネガティブ面だけがピックアップされたものが「マーフィーの法則」と呼ばれるのではないか。

 人間心理とは不思議なもので、世の中には勝負に勝った時や良い事が起こった時のアノマリーだけを心に留め置く人と、負けた時や悪い事が起こ った時のアノマリーしか覚えていない人の二手に分かれる。どちらが正解かは未だにわからない。