昭和の風林史(昭和五八年七月十五日掲載分)

小豆は絶好の買い場出現

弱気がこんなに多い相場も珍しい。なにかを誤算しているようだ。あとで判る。

小豆相場は売っている側は横になってしまい、買っている側に震えがきて利食いが早い。

産地11限が三万七千円台の相場。誰が安い消費地にモノを持ってくるのか。

消費地11、12限になにを渡すのか?

これがこの相場のマジック・キーである。

ともかく今期(輸入)枠を出したところが相場爆発のキッカケになり、次期枠は作柄が決まる頃からの作業であるから、いま弱気の考えているようなストーリーにはならない。

第一、台湾でも中国でも供用格差五、六千円に古品格差二千円を加えると結構高いものになる。

これを定期にぶつけるなどあり得ない。

北海道産古品現物は四万五千円→五万円にもなっているだろう。

だから今来月納会で、ピンでもよいから現物受けて、その倉荷証券を代用に入れて小豆で小豆を買う方法がご正解である。

今の相場は中段のもみである。

役所がああ言った、ホクレンがこう言った―と売り方に力づけるような風聞は後々のためによくない。

それは踏みを渋らせ、新規の売り込みをつくる。

結果的には上昇エネルギーをつくるばかりだ。

それにしても大凶作の小豆三万三千円を売って、下値を幾らに見ているのだろうか。

次期枠の超大型発券に期待しているわけだが、過去の凶作相場時の発券作業を参考にして考えるならば、やはりこの相場がシビれるのは9月から10月時分に三万八千円→四万円(11限月)をつけてからである。

当限のほうは15日過ぎると日に二千丁走った経験(55年)がある。

当面、先二本の三万六千円は、だいたい約束されたような値段である。

●編集部註
 この当時、外務員ではなかったので想像の域を出ないのだが、もしこの頃マメ屋の下っ端の営業マンだったら、恐らく賢しらに「凶作に買いなしですよ」と逆張りの売りを勧めて歩いていたのではないだろうか。
 レンタカーを走らせて怒りの小豆を実際に見て来た風林火山にとってみればそれが気に入らない。
 悲しいかな、このように相場の分析記事を生業としている者は時折オオカミ少年と見なされる事が少なくない。
 とりわけ、風林火山はそれが多かった。実際に相場の逆、逆を書き曲がり屋となり、挙句に書く事がないと紙面を実際に真っ白にした過去がある。
 ただ、曲がり続けるという事も逆に不可能というものである。