昭和の風林史(昭和五八年三月二日掲載分)

輸大期近売り過ぎの反動

輸大期近三本は売り過ぎの修正。売り屋の手詰めで締まっている。

中東産油国の海外資金引き揚げで金相場暴落→ゴム、砂糖、穀物暴落。

国際商品三本柱も原油値下げには勝てない。

盛り上がろうとしていた商品投機ムードが、これでまた時間調整ということになりそうだ。

その間、国内は生糸、乾繭、小豆という国内銘柄に期待をかけるところ。

シカゴ大豆期近暴落を円安でカバーしたような輸大新甫八月限は結構強い生まれだった。

野も山も見渡す限り弱気一色の輸入大豆人気であるが、期近限月、誰がなにかをやっているわけではないが、存外強い相場だ。

東京で強気の陣を張っている人から『大阪でなにか、やろうとしているのですか?』と。

大阪の強気『東京でなにかやろうとしているのだろうか?』と。

なんにもしないでジリッと締まるところが無気味。

円が安くても、相場の地合いが下げならばシカゴがあれだけ崩れたのだから、穀取輸大は、ぶっ叩かれて当然。それが逆に締まってくる。

これは、相場は相場に聞けという事でしょう。

中豆、中豆と、売り過ぎたのでなかろうか。

二月納会六市場で二月入港物が百五十八枚渡された。

全受け渡し六百二十六枚の二割五分に当たる。

二月入船は一月入船のズレ込み。その分を定期に渡すという事は、言われているほど荷がダブついているわけでない―と思う。

結構、味噌業界に中豆がはまっているそうだ。

これであとの契約ができたとしても六月以降の積み出しだから三月、四月に買い方が積極的に攻めれば流れが変わるだろう。

小豆は買いたい人はどんどん買うべし。わが党は売らず、踏まず、兵力の温存。忍の一字。

●編集部註
 やらないのも相場、休むも相場である。しかし、大口の投機家は休めない。
 同様に、素人さんを抱える商品取引員の取引も休めない。いや、休ませてあげられないというのが正しい言い回しか。
 商品に限らず、金融商品は大概が手数料商売である。商いが回転しないと食っていけない。それは充分理解出来るが、この頃から今に至るまでノルマを課し、素人のお客さんを、営業マンを追い込むのは如何なものか。
 無理をした咎めは紛議になって返ってくる。信用も失う。役所の締め付けはより厳しくなる。良いところなど何一つない。 
昔は「わかっちゃいるけどやめられない」で済んだのかも知れないが、今はそうもいかない。