昭和の風林史(昭和五八年三月十五日掲載分)

輸大は今週の押し目買い

小豆は中途半端に売るから捕まる。戻り新値抜けば売ればよい。輸大は底堅い。

もし仮りに穀取の小豆か輸大相場が、ゴムのように10週連続棒立ちしたら、建玉規制だ、臨増しだ、それ立ち入り検査だ、解け合いだ―と穀取は大騒ぎだろう。

その点、ゴム取引所は涼しい顔で(といっても水面下では真剣に市場管理に神経をつかい)健全な市場で自由な商いを歓迎し、市場の機能を高めている。

ここのところが穀取(の小豆)とゴム取の違いであって、穀取は小豆の不人気・不振を嘆く前に、市場管理についてのこれまでの反省と、今後のあるべき姿を研究しなければならない。

小豆相場は打たれていたマバラ大衆筋が、先週安いところで元気が出てきて突っ込みを売った。

あの8日高値時点で、なんとも情けない声で電話してきた読者が、急に元気づいて売りたいという。

アカンなそれは、売ると引っかけられて、また泣きをみますね。

今の相場は超薄商い。だから玄人筋が煽る気ならすぐ値が飛ぶ。安値を売って捕っている大衆は、三万円があっても死なんよう、命綱のみ大切に、中途半端に売らぬ事。

九千五、七百円から三万円乗せがあってもよいように臥薪嘗胆(がしんしょうたん)である。

輸入大豆は自己玉推移から判断すると、大衆買いが一巡投げたあと、安値を買った格好。

円安傾向、シカゴ押し目底固めが見えているだけに、下値の抵抗を感じる。

市場では穀取渡し用の玉(証券玉)が急増しているという。

買い方は静かにしているのに、弱気筋は、なんとも騒ぎが派手である。

水の流れも浅瀬ほどやかましい。犬でも弱いのがよく吠える。買い方、黙って時間待ち。

●編集部註
 平成も間もなく終わろうとしている現在、〝…今の相場は超薄商い。だから玄人筋が煽る気ならすぐ値が飛ぶ〟という状態がどんなものだったのか。当時の日足を見ると、それでも相場はちゃんと動いていた事が分かる。本当の「超薄商い」の相場は、こんなものではない。
 以前も指摘した通り、東京一般大豆は現在悲惨な状態になっている。
 総取組高は昨年10月に700枚を割り込み、本年2月には600枚を割り込んだ。3月の出来高は11日に20枚を記録した以外は一桁の商いである。
 大義名分は重要。投機を利用した価格の平準化、市場の安定化というお題目が全く機能していないなら上場をやめるべきだ。