昭和の風林史(昭和五八年三月十日掲載分)

上げ基調の中での押し目

輸大は上げ基調の中の押し目と見るべきだ。押したところを買えば、楽な相場である。

東穀輸大ひと場八千百一枚の出来高。

五月積み中国大豆三万㌧・二四〇㌦成約で売られた。

中豆20万㌧成約が言われていたが、この分を入れて、20万㌧に達した―と見るのが強気。

月に三万㌧積み出し能力しかない中国大連港。慢性的な船積み遅れが解消するわけでない。

期近限月の急落にもかかわらず期先限月はカイハナ千枚という東京先限(9日前二節)、意外と下には値頃の抵抗が強い。

東西自己玉の売り合計は先月24日のピーク(二万三千枚)から四千枚ほど減少している。

大衆の買いは、高値で利食いした姿が出ている。

その大衆筋、やや売り傾向のところにこの下げが入って、売り玉利食い、ドテン安値買い―という当たり屋さんだ。

前二本の三・四限は買い方の制空権下にあって安値売り玉は踏まされた。

そしてこの限月、まだまだ死んでいない。大底から二段上げしたところだ。

五・六の中二本限月も安値切り上がりのダイナミックな底練り。肩上がりの押し目買い有利の姿。

七・八の先二本は今年の天候相場に勝負をかける。

要するに基調は上向きなのだ。ジグザグ適当に押しを入れて、ふるい落としや売り込みを誘う。

従って押したところ、悪いと見えたところを買う。

小豆は、少しゆるむと売りたくなるが、これを売ると引っかけられて、またまた頭をかかえる。

売るのなら、ワーッと高いところを狙うべきだが、そのような時は安値売り玉に追証がきつく、とてものこと売れない。

しかしこのようにしていて春の天井をつくる。

安値売り玉は、春まだ遠しという気で死んだふりしておれば笑える日がこよう。

●編集部註
 ここで記されているような内部要因分析による投資判断は各社の手口が公開されていない現在、出来なくなっている。
 相場に愛がなく、江戸の米相場の歴史も学ばぬ出羽守がしゃしゃり出て、何でもかんでも海外の市場に倣ってザラ場にしてしまった事が、日本の穀物市場を駄目にしたと個人的には思っている。
 今の東京一般大豆の日足を見ると全く機能していないことが分かる。
 商いが少ないのだからすぐにでも板寄せに戻さないと相場が成り立たぬ。それが日本の穀物市場の最大の振興策と考える。