昭和の風林史(昭和五八年九月一日掲載分)

小豆トレンド下げの道中

小豆は夏天井しているから所詮戻しても次の下げが深い。輸大もシカゴが疲れた。

輸大の自己玉は六㌦から九㌦まで売っていて、九㌦乗せから強気に転換という、事志と違って実に手の悪いポジションをとらされた。

これでシカゴも熱波騒ぎの人気(投機)相場も一段落する段階だ。

あとゆれ戻しを入れてもトレンドにひびが入った。

穀取輸大はシカゴの支援がなければ自立更生はできない。

結局九月中旬あたり元の木阿弥で彼岸底を舐める格好でなかろうか。

米中西部の大豆は結構雨もあって作柄は回復していると伝える。

国内は、いずれ中国大豆の洗礼を受けるし、当限の如く五日間で六百丁も火柱を立てた相場は煎れ上げ化け線。相場エネルギーは燃焼してしまった。

ところで小豆はホクレンが油断した隙を期近二本に巧者筋が横槍入れた。

ホクレンはまだ安値の売り玉八百枚ほど前二本に残している。これを狙って玄人筋の買い玉がはまってしまうと、短期勝負でホクレン売り玉舞い上がる。

しかしS高喰らってホクレンもただならぬ様相に気がつけば現物師団を急拠移動させるだろう。

それはそれとして、この小豆相場綺麗な富士山頂の擂鉢型の天井だ。

分析すれば六月28、七月6、14日で三尊型。あと七月22、八月3日毛抜き型。

一天、二天、三天と三山天井に要した日数30本。

下げトレンドに入ってまだ日が浅い。少なくとも九月彼岸頃までに先限(二月限)二万八千七百円あたりあるだろう。

凶作はすでに百も承知。降霜なら―。自由化せずなら―。次期枠発券来年二月に延期なら―。中国売り渋りなら―。色々考えるけれど天井した相場の大勢は底取るまで戻れば売られるのが世の常である。

●編集部註
 これは「天井三日、底百日」のロジックである。
 ところが、この世の中には「天井百日、底三日」という相場も存在する。
 この見極めに失敗するとその先には陰惨たる曲がり屋人生が待っている。
 「豊作に売りなし、凶作に買いなし」のロジックも入っている。そこが穀物相場の難しさであると同時に、ここで登場する巧者筋や玄人筋にとっては面白さでもある。
 それは、一種の魔力のようなものなのだろう。
 取引自体は高邁だが、極めて来るとマインドは住之江や平和島、宮島や京王閣に連日通う人種と何ら変わらなくなる。