小豆の安値ゆっくり拾う
春の天井を打って青田底を取りにいく小豆の格好。玄人総弱気だから強気がよい。
小豆に対する玄人筋の人気は極端に弱くなっている。
九千円台を買ったつい先日のあの強気が、まるで嘘のようである。
大衆筋は九月限のこの安値を買いさがりで、それが取引員自己玉九月限売り越しにあらわれている。
小豆九月限の安値買いさがり方針は、これでよいと思う。
今回の下げは産地の天候がよい。自由化問題。大納言小豆の嫌気。不需要期入り。実需不振など、言ってみれば今までに何回も言われていたことであるが、九限一代足で二千円も斬られては強気した人にとって面白くない。
だから多分に今の弱気は坊主憎けりゃ袈裟まで憎しの弱気である。
まあこれだけ下げてこれだけ弱気がふえたのだから八、九月限の安いところを買いさがればよいと思う。もう七千円を深く割り込む相場でない。
輸大のほうは飛び休で気乗りしないところ。
しかし五月上旬は強張りしそうだ。アメリカの大豆作付けも早いところは五月第一週から始まる。
向こうの天候がどうなのか、シカゴ相場がこれを教えてくれる。
ゴムもロンドン高に敬意を表した程度に戻したが、週末の相場に力はなかった。
下げたところは売り玉利食い。勢いのある戻しかたをするところを軽く売っていけばよい。
すでに肩さがりの頭打ち型である。今回相場の主導権を握っていた産地シッパーもポジションを移動中。ということは相場は山を越した。あとは日柄の重さが解決してくれよう。
●編集部註
1983年5月は、当時のローマ法王ヨハネ=パウロ2世が「それでも地球は回っている」と地動説を支持して咎めを受けたガリレオ・ガリレイの宗教裁判の誤りを認めた月でもある。
色々と時が解決してくれる事がある。この年の5月は、東京裁判に関する国際シンポジウムが開かれている。これは、その翌月に公開された「上位討ち」「切腹」「人間の條件」で知られる映画監督、小林正樹のドキュメンタリー映画「東京裁判」と深い関わりがある。
上映時間は227分。長いと思ったら大間違いで、ホロコーストを題材にしたフランス映画『ショア』の503分の半分にも満たない。
ベルトルッチの『1900年』は316分。エドワード・ヤンの『クーリンチェ少年殺人事件』は236分。この手の映画は体力のある内に見ておくべきだ。