煎れたら仕舞の精糖相場
輸大はキツイ下げを控えている。小豆は上がる。精糖が売り場に入った。ゴムもだ。
小豆はあとから気がつくと思うが、やはりあの時(今現在)が底だったということになる。買う材料などカケラもないし、玄人という玄人皆弱気。
しかし玉整理が済んだ。期近のシコリ玉も大掃除した。相場は皮肉にできていて投げたら高くなるものである。
材料はあとから追いかけてくる。北海道の天気は良いが、種蒔く前に例年にないほどの好天というのが曲者だ。お天気には反動というものが必ずある。
当限は大台三ツ変りで元の木阿弥。この下げは新値節足18手。一月11日底から四月8日頭までの上げのそれが19手。
下げ波動にピリオドだ。
輸入大豆は、この期に及んでという段階からS安を食らう相場である。
需給面はなに一ツ好転していない。
取り組み面は投げるものは投げたが、投げぬ人は両建である。
結局は先限の大阪三千八百円であろう。シカゴ期近のトレンドは六㌦を一度割らねば大上げ出来ん。
精糖は二〇二~三円から二〇五~六円ときたところは必殺の売り場である。
これを売らずになにを売る。あたかもそういう場面。
強気は強気カンカンの強気組の言う事は判るが、相場の呼吸からいうと目先的に15~16円ほどの下げがこなければならない。
大出来高で人気はナーバスだから動きも一方に片寄りやすい。
小豆安けりゃ砂糖が高い。砂糖安けりゃ小豆が高いというサイクルもある。
ゴムは先限51円取りに行くのが少しシンドイ。せめて恋の丸ビルあの窓あたり48円にとどけば抜く手も見せずに売るところ。
ゴム先限の48~49円あたりの売りなら怖いものはない。その売りは15円幅の下げを楽に取れる。
●編集部註
悪名は無名に勝る―というが、この頃はバブル前。しかも豊田商事事件が表面化する前で、彼らは惡の華を咲かせていたので、この頃の日本の投機界は、ズブの素人から見れば百鬼夜行の伏魔殿に見えていたと思う。
ただ「現世は夢、夜の夢こそ真」ともいう。その〝真〟に引き寄せられる人も多かった、それはある人には桃源郷の入り口となったが、大多数は誘蛾灯に過ぎなかった。
梶山季之の「赤いダイヤ」を読むと実名は伏せているが、今も続く老舗の和菓子屋が小豆相場に耽溺している描写がある。