小豆高けりゃ砂糖は安い
小豆は売られながら出直る。砂糖は絶好の売り場だった。15円幅の下げになろう。
相場は理屈ではない。朝のテレビで帯広に雪が降っていた。まだこれがどうというわけでないが、人間心理、特に敏感な神経を持っている投機家に与える影響は微妙だ。
小豆相場は底が入った。投げる者は投げ、期近シコリ玉もほどけた。そしてお手々の合わない筋が安値を売り込んだ。
増反だ、豊作だと、売り方、はしゃぎ過ぎだった。
その間に日柄を経過している。
これから戻り売り人気で玄人筋が売り上がってくるだろう。そしてその玉が起爆剤になり八千円台に沸騰するだろう。
『風林は、こんな小豆を強気するなど、悪い病気にとりつかれたのでないか? 買う材料などカケラもない』とご親切な電話もあった。しかし、病気しているのはあなたの方だと言いたかったが、折角の親切無にしちゃいかんと思った。
答えは相場が出してくれる。
輸入大豆はシカゴ小戻し、円呆やりで小堅かったが、シカゴは下げトレンドの中にまだいる。一度は六㌦割るようなハッとする場面がありそう。
当面の輸大は戻しておいてドスンと下げる姿。
輸大から精糖に。ゴムから粗糖に。人気は草木もなびいて精糖・粗糖へ。
砂糖取引所はお祭り騒ぎの大出来高。
NY入電暴騰は日本の商社の高値飛びつき。
それを見てS高総煎れ。煎れたらしまいなのに。
砂糖は満を持しての絶好売り場。これを売らずしてなにを売る。
先限窓三ツ(三空)の熱狂高で煎れ上げ化け線。
反転急落S安含み。崩れは下の窓(一九二円)あたりまで15円替えの下げを狙うところ。
ゴムも先限下に10円安がある相場になった。
●編集部註
〝入電〟という表現に時代を感じる。「インターネット」という概念は、この頃産声を上げたばかりであり、回線も光ではなく電話回線である。
その前はFAXやテレックスが主流で、50年程前はテープに記された相場情報がディーリングルームの一角から噴き出ており、そのテープをさばく人員が配置されていたと、古参の外為銀行OBから聞いた事がある。
物語のクライマックスでこの電信技術を利用した一大詐欺を展開。敵役のギャングのボスから大金を巻き揚げる映画「スティング」でも、この電信テープが登場する。
主役の一人であったロバート・レッドフォードは現在82歳。7月に公開される「さらば愛しきアウトロー」で引退する。