昭和の風林史(昭和五八年八月一日掲載分)

小豆も輸大も破竹の勢い

小豆も輸入大豆も八月の声を聞くと相乗して弾(はじ)ける。売り方総懺悔の月。

公明党の先生が小豆の二万七、八千円あたりを売って呻吟しているという噂が随分前から流れていた。

この先生の筋なのかどうかは知らないが、農水省当局に圧力がかかっている話を耳にする。

ポジションと政治力と行政と相場―。すべては力関係である。

帯広あたりではぼつぼつ駄目な畑を起こしにかかるそうだ。共済金問題に目途がつけば、かなりの畑が掘り返される。

そしてそのあとに燕麦を牛の飼料用に蒔くそうだ。

産地のお天気は、しばらく雨の日が多くなりそう。札幌管区気象台29日発表の道央(石狩、空地、後志)週間予報によると八月上旬も暑さ望み薄である。

平年作の年ならすでに小豆は開花している。

15日から22日遅れの作況では秋冷が早いと予報される今年の場合、台風、霜害はまぬがれず、三分作以下とみなければならない。

売り方は凶作織り込み済みの相場というが、ポジションの違いによる見解の相違というべきか。

さて七月15日→22日の上昇(大阪12限)二千三百円の半値押し地点で七月を終わった。月棒先限は上影下影大きな短陽線は激しく動機づく線。

新ポ登場1月限は寄ってたかって売られる予想。

その売られた1月限を買うのが人の行く裏に道あり花の山。

相場波動としては遅くとも今月三、四日あたりから活力のある足取りになるだろう。

輸入大豆はほれぼれする週間棒。この週間棒に一升壜を供えたい。先三本六千円抜けから七千円に挑戦するトレンドに乗った。

●編集部註
「呻吟」という単語が分からないので調べた所「しんぎん」と読むのだという。「苦しんでうめくこと」を指すのだとか。こうして何らかの文章を紡ぎだす作業に従事する人間は至る所で呻吟の連続なのだが、ここで登場する先生は恐らく、追証で呻吟されているのだろう。
業界に長くいると、別の業界で有名な方が呻吟されている話をよく聞く。
中央競馬で有名な騎手やグループサウンズ出身の有名人などが呻吟された話をこれまで聴いている。 
公明党という名前は出ないが、先日読んだ月村了衛の小説「悪の五輪」には公明党のような団体が登場する。
1964年の東京五輪の記録映画の監督は市川崑なのだが、本当は黒澤明が撮る筈だった。
この小説は、黒澤が降りて市川に決まるまでの間に繰り広げられる暗闘を描いたフィクションなのだが、時折実話が組み込まれている。