昭和の風林史(昭和五八年八月三十日掲載分)

シカゴ大豆線型微妙なり

輸大は大々的な煎れと総利食い。転機接近と見る。小豆は人気離散で薄商い。

シカゴ大豆は大取り組み(七億一千二百万ブッシェル)の大出来高(四億ブッシェル台)。水準が高いから非常に神経質な動きだ。

シカゴの線型は天井圏で見せる典型的な波乱である。

六㌦90~七㌦20のところで七月末に見せた、あのゆさぶりとは、まったく性格の違う上下動だから、余程用心しなければ、厳しい下げに直面しよう。

穀取輸大は大衆パワーの勝利だった。利食い利食い、また利食いで、自己玉は完全に食われた。

この大勝利の大衆資金が他商品に移動するのか、それとも輸大をもう一度買ってくるか、逆に売りにまわるか。

専業大手取引員は許可更新期である。九月決算会社も多い。自己玉で財務内容悪化しては困る。

年初来約八カ月国際商品は水準を高めてきた。市場全般の空気は更に一段高ありという味方だ。

数年前だが九月に入って全商品大惨落場面におちいったことがある。

筆者は“黒い九月”と名づけた。

九月のいつ頃かは判らないが今年も黒い九月がくるのでないか?と予感する。

小豆は薄商いで人気が離れている。

期近の戻し具合いに比較して先のほうは鈍い。

九月新ポ登場の二月限は下鞘生まれで、高値取り組み12・1月限の買い玉整理を強要する波動に入る。

あと小豆に残された興味は早霜の洗礼によるS高一発半ぐらいの反発であろう。そして、九月も十日頃になると現物の売れ行きがよくなる。

それらの諸現象を待つ相場かもしれない。

逆張りでお茶を濁しておいて霜被害で高いところを売る心算の人が多く、いずれ中秋名月の頃に早い秋底をとるのかもしれない。

●編集部註
 〝黒い九月〟が83年9月なのであれば、19年9月の金相場は国内外共に差し詰め〝白い九月〟とでも形容出来るか。買い方に限って言えばだが。
 83年の小豆相場も、19年の金相場も「もう」は「まだ」なりをこれほど具現化した相場はない。大概、途中で「もう」と踏んだ反対売買が、その先の「まだ」を生み出すジェット燃料となる。
 その際、悪い取引員に乗せられた大衆は損切りではなく両建てで対処するようそそのかされる。それが次の動きの燃料になり、最終的には紛議に発展する。悪循環の定番パターンである。