昭和の風林史(昭和五八年十二月五日掲載分)

山雨まさに来り大暴落へ

超閑散の均衡が破れて小豆は真空を斬ったところ。流れはいよいよ急である。

売り玉を早々と利食いしていた。

暴落は目前にあり、山雨まさに来らんと思う間もなく、二日金曜日の大引から崩れて原稿の締め切りが早いためそのままの紙面となったが大筋としては、それでよいと思う。

現物が溜ってきたらダムは決壊するのは目に見えた事でパニックというものは、当限だろうと二番限だろうと、四の五のいわず下げる時はみな同じ運命。

現物価格は崩れ、北海道も崩れ、先限が期近買いのオーバーヘッジのバランスでは流れが急になるのも当然である。

選挙が終われば自由化問題が前面に出てくる。

そしてその度に、小豆は価格革命してゆく。

いまのところ、弱気でも二万八千円あたりしかみていないが、時と場合によって二万五千円あたりの水準は取り組みが痩せているだけにある筈だ。

早々と利食いした人は年の瀬だけにそれはそれでよいけれど戻りは必ず売り玉建てること。

大きなクリスマスプレゼントの次はたまげるようなお年玉になるだろう。

要するに流れである。トレンドともいう。

流れに逆らわない。トレンドと喧嘩するな。

買い玉が投げて投げて投げきってはじめて灰汁が抜ける訳だが、未練残した因果玉があるうちは駄目。

思うにこれは無理した咎めと日柄の疲れが凶作に買いなしという答になって出たもので、将にいそげ幌馬車もう日が暮れる。

●編集部註
 以前も述べたが、この欄を書いていると時折、昭和の記述と令和の今がつながる事がある。 
 昭和の「選挙が終われば自由化問題が前面に出てくる」「そしてその度に、小豆は価格革命してゆく」という文章を読みつつ、令和のテレビに目を向けると、丁度昭和のこの頃の映像が映し出されている。何かの大会なのだろう。大人数の偉いサン達が舞台上にずらりと座っており、その前に多分一番の偉いサンが登壇して何か喋っている。
「○○○○会長(当時)」というテロップが、喋っている一番の偉いサンの映像の下に出ている。
 どうやら悪徳会社のト ップだった人らしい。そういえばこの時期、社会では゛惡の華〟があちこちで咲いていた。豊田商事が社会問題化していたのもこの頃である。
 豊田商事の会長さんは刺されて死んだが、テレビに映っていた会長さんは新自由主義の影響を受けた当時の有力政治家達に取り入り、生き残った。 その政治家達が軒並み鬼籍に入った今、その後も悪行を重ねた会長さんをテレビで見ると、実に複雑な気持ちになる。