昭和の風林史(昭和五十年五月十二日掲載分)

千丁戻し売れ 小豆は強気一貫

手亡のこの戻りは売り直して十分に取れるだろう。決して強気出来ない。小豆は押し目買い一貫。

「石菖や打水弾く脂石 若沙」

49年産小豆に大量の48年産小豆が混入されて、そのため大阪での受渡に随分とクレームがついた。

新穀と称する商品に古品を混入する習慣は過去にもあったが、そういう悪い習慣は過去にもあったが、そういう悪い習慣は、なんとしてでもやめなければ信用が台なしになる。

前週末の小豆の急所はそういうことを嫌気した。

また需要最盛期の四月の消費が意外に伸びていなかったのも影響した。

割り切った見方をする人は、ホクレンの管理相場だから、播種後の本格的な天候相場に入るまでは七千円台は売られ、六千五百円以下は買われる逆張り相場の域を出ないと見る。

それにしても、もうあと半月ばかりだ。取引員の店頭には、きょうから産地の天候が表示される。

ちなみに昨年の今時分の帯広の平均気温は次の通り。

9日  九・四度 ▲〇・九
10日 一二・七度 △三・四
11日 一三・三度 △二・九
12日 一三・八度 △三・三
13日 一二・九度 △二・三
14日 一一・九度 △一・二
15日 一四・四度 △三・六

昨年の今ごろの帯広の平均気温は平年より二、三度(△)高い日が続いた。

相場としては五月9日の瞬間的安値が三月20日の瞬間的安値に顔合わせの格好。六千五百円の値段以下には強力な抵抗のあることをまた知らしめた。

一方、手亡相場も期近限月の一万円大々台割れは〝初割れ買うべし〟の金言で、目先巧者は器用に泳いだ。

今月のピービーンズ入船は量的に少ないが、やはり来月からの圧迫を思うと手亡相場の先行きは希望が持てない。

ピービーンズの割れ豆が六千二百円。まあそれより五百円上のものとして六千七百円。そういう事から、手亡の行く末は、結局九千円以下、八千円台だろうと見るのが市場の常識である。

前週末は下げの反動で自律戻しを入れたが、これとて長続きするまい。

従ってここのところは先限の戻りを売りで十月限九千五百円以下を目標にする相場だ。決して手亡の強気など出来る時点ではない。

強気をするのなら六千五百円どころの六千五百円どころの小豆であろう。小豆は小豆。手亡は手亡。

●編集部注

昔、新人外務員は出社すると平均気温や相場の四本値をグラフ用紙に書かされた事を思い出す。

【昭和五十年五月十日小豆十月限大阪一万六七一〇円・一七〇円高/東京一万六七八〇円・三九〇円高】