昭和の風林史(昭和五十年四月七日掲載分)

買い線買い線 またまた買い線

手亡の売り方、バルカン戦線異常あり。秘められた手亡の魔力発揮せん。大相場だ。

「水影ののぼるが如し水芭蕉 枝幸」

二連休前の四月四日の大引け手亡は前日の陽線を抱き込んで目の醒める大陽線を立てた。
この線は踏み上げ線だ。

期近限月で千六百円弱。先限で千百円強を突っ走った相場は、仮りに今週押し目を入れるとしても、あなどることの出来ない強いものを持っている。

底を打った相場はこれだから怖い。

筆者の言う、川底の砂に足の裏がとどいた相場だ。

線型で先限一万三千五百円あたり、押し目を入れる場所である。

時に、三千五百円まで行かぬうちに押してくるかもしれないが、上のほうに行くだけ行って押すよりは早い目に押しておくほうが相場のスケールは大きくなる。

新値で見る方法だと三月27日の大底から五本である。相場のリズムは三、五、七、十二、十五である。

三手返し、五手返しという言葉もあるぐらいだ。

もとより、押し目は強気で対処すべき相場になっている。

なぜかといえば、底が入った→出直った→若い相場→深い取り組み→活発な市場であるからだ。

売り方も防戦するだろう。このままV字返しで二千五百丁、まともにはねられてはバルカン戦線異常あり。場勘場勘で金庫が冷える。

六、七月限は高値から一気に半値ないし半値強の戻しであるから、単なる売り込みの反動とか、自律戻しなどというものではなく、大直りの相場というべきだ。

Pが怖い時代から、Pがなんだいという市場の人気。カードが裏返って、裏がおもてに、おもてが裏に世の中さまざま、丸いたまごも切りようで四角。

さて、とりあえず上値の急所が、どのあたりかといえば三千五百円。七、八百円。四千五百円―となる。

買い線、買い線、また買い線という今の手亡である。

なぜか知らぬが大きい相場の様相を孕んでいる。

Pのヘッジ、輸入積極化、九月、十月Pの捨て場月等軟派の言うべきことは皆折り込んだうえでの出直りだ。

手亡相場には、なにかがある。秘められたソロモンの魔力とでもいうべきか。

ありきたりの常識的モノサシの

目盛りでは計れない手亡になった。

●編集部註
今も昔もこの頃甲子園で高校野球をやっている。 

昭和五十年のセンバツ優勝は高知高校。準優勝は東海大相模高校で監督は原貢。この時の三塁手は息子の辰徳であった。

【昭和五十年四月五日・休場】