昭和の風林史(昭和五十年四月二日掲載分)

鬼線出現手亡 将来の大相場暗示

手亡の線型は底入れし、しかも将来の大相場を暗示している。三川底破れの鬼線は買いだ。

「春雨や今日も酒飲む旅の宿 飄亭」

諸般の情勢から判断して怪物のような大取り組みの手亡相場は、大崩れもないかわり、強烈な上昇もない―という一般的な見方を基本にして今後を考えてみるとどうなるか。

手亡相場の七不思議の一ツであるこの大取り組みが、さらに増大する可能性は残っている。(証拠金のスライド制によって取り組み増勢を制御する機能はあるが)。

手亡の取り組みが大きくなったままで、相場が今の値ごろで小高下の続けると、ますます取り組みは、ほぐれない。

取り組みがほぐれるには、大暴落するか、大暴騰するかである。それともう一ツ。納会、納会の期限が来て玉が落ちるか。

先に手亡は二千六百円も崩れた。

過去の常識では、この大きな取り組みは、ほどけるはずである。

S安五回分の下げ。しかも証拠金は安い。高値で取り組んだ玉は下げ途中で整理されたと見ることは、その時の出来高で想像出来る。

しかし総取り組み高は逆に増大した。新たな買い玉が入り、新規の売り玉もふえた。

あれだけ暴落してほどけず、しかも安値でふえた取り組みが、少々の下げでほどけるはずはなかろう。

そうすると、これは上に持っていかなければ、大取り組みは解消するまい。

ここで注目されるのはケイ線である。

大きく下げたあと、八月限27日の寄りで手亡は底入れを見せた。

ここまでの一連の日足線を酒田秘線では〝放れ七手底〟という―と米常の安田祥雲斉氏は言う。

筆者も、手亡相場の線型は将来に大相場を暗示していると見る者である。

祥雲斉氏は、三月17日までの手亡線型を〝三川底〟と見ていたが、17日以後の千円下げを見て『なにが三川底だ―と自嘲しているのです』と、おっしゃるが、三川底破れの行き過ぎは未来の大相場を暗示していると筆者は思っている。酒田秘線〝放れの七手底〟にしても何年に一度しか出ない凄い線型であるし〝三川底破れ〟〝三山天井破れ〟の奇(鬼)線こそ大相場の前兆と言える。

手亡の安値は買い線だ。

●編集部註
罫線分析は必要条件であると思う。しかし絶対条件ではない。

古参曰く、昔小豆相場には「罫線殺し」という人種がおり、綺麗なシグナル場面に大金で逆張りを仕掛けるのだという。

【昭和五十年四月一日小豆九月限大阪一万七二一〇円/東京一万七二〇〇円】