昭和の風林史(昭和五十年四月十一日掲載分)

手亡は買いだ 目に見える反騰

利かすだけ利かしたという手亡であるが、三空叩き込みの反動はきついだろう。小豆もち強気論。

「山吹のなを一枝の暮春かな 虚子」

手亡は大出来高で取り組みの掃除をした。そして材料的にも出るものは出た。

値段で産地の品物を呼び前二本(四、五月限)は行ってこいの下げだが、相場としてはこれで灰汁(あく)抜けである。

先月27日から今月7日までの急騰で空けた窓を埋め、さらに下げに加速度がついて夜放れ安の〝三空叩き込み〟だが、この下げ過程で空けた窓は必ず埋めよう。

手亡先限は半値から三分の二押しと見ていたがほぼ全値を消した。

千円棒を立ててすぐに、千円棒が折れるという激しいこの動きは、先行きの大展開を暗示するものである。

取り組み面で注意しておかなければならないのは、現在の顔ぶれのよい売り方が買い方に転向し、現在の買い方が売り方に転ずるという面前での大舞台変わりである。

天候相場入りというタイムリミットがあるため売り方も、一万二千円割れは総利食いの場所になるだろう。来月は産地で早々と新穀限月が登場。

従って、水準を下げるだけ下げた今の限月は、新穀限月の動向に影響されることであろう。

ピービーンズの格差四千円という事も悲観的な面ばかり強調されていて、虐待格差がもたらす十一月限からの純粋手亡相場をあまり深く考えないようだ。

今年が作付け大幅減反。天候異変なら、当然新穀限月は凄い相場になろうし、今の限月も値打ちが出てくる。

スペキュレーションは常に市場人気の裏側を考えておかなければならない。

万人総悲観の今なら手亡は、先行き強烈な反騰を暗示していると筆者は確信している。

小豆相場はどうか。

先限七千円中心の動きであるが、手亡安で地合いを悪くしたり、金の延べ棒、買い場になる。

三月20日の、まるで、こぼれ落ちたような瞬間的安値、あれが底である。

万が一、先限が七千円を割るようなら、嬶質置いても買うところである。

小豆、手亡とも、こんなに弱気ばかりの市場は珍しい。判り過ぎた弱気である。必ずこの裏、反動がくるだろう。

●編集部注
相場格言にある「大衆は全て間違っている」と。

相場に絶対はないが、古今東西を問わず、この格言は必ずしも間違ってはいなと思う。 

平成の御世にNY金の上昇要因として「第三次世界大戦が始まるようにみえる」からと市況に書かれたら、玄人はやはり警戒すべきであろう。

【昭和五十年四月十日小豆九月限大阪一万七一一〇円・五〇円安/東京一万七一八〇円・三〇円安】